2021 Fiscal Year Research-status Report
「コンタクトスポーツ難聴」の提唱と次世代型サポーターの開発
Project/Area Number |
21K11416
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
濱西 伸治 東北学院大学, 工学部, 准教授 (00374968)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コンタクトスポーツ / 剣道 / 難聴 / 骨導 / 3Dプリンタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,コンタクトスポーツの骨導・衝撃音を低減する2種類のサポーターを3Dプリンタで作成し,加速度・音圧に着目した低減効果を評価した. 一つは頭頂部の保護を目的としたシリコン素材のサポーター,もう一つは耳介部の保護を目的としたポリウレタン樹脂のサポーターであり,いずれも蜘蛛の巣のような構造になっている. 打撃実験では,剣道における打撃を想定し,石膏で作成した頭部模型を用いて頭頂部に加速度センサ,左耳の外耳道内部に小型マイクを取り付けた.ハンマーにより,一定の打撃力で打突部に振り下ろした際の頭頂部の加速度と外耳道内部の音圧を計測した. 面防具の頭頂部外側にサポーターを装着したものは,内側に装着したものより加速度が低減し,面防具のみへの打撃よりも加速度が約72%低減した.繰り返し衝撃を受ける稽古時に本研究で提案したサポーターを面防具の表面に装着するだけで頭部への衝撃,および,それに起因する難聴を防げる可能性がある.また,装着時の頭部の違和感も抑えられる. 耳介部にサポーターを装着して同様の実験を行ったところ,面防具のみへの打撃時よりも,外耳道内部の音圧を約16dB低減させることに成功し,聴覚器官にダメージを与えるレベルから飛躍的に低下させることができた. 従って,今後,面防具の広範囲に試作したサポーターの構造を組み入れることで骨導や衝撃音の低減が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有限要素法の頭部モデルを用いた骨導シミュレーションにより,難聴発生のメカニズムと難聴リスク閾値を解析する予定にしているが,複雑な計算を要する「時間応答」の計算結果には,現時点で妥当性のある結果が得られていない.今後は比較的簡単な「周波数応答」について解析を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
試作したサポーターに,小型の加速度センサとマイクを組み込んで頭部模型に装着し,衝撃に対する加速度値・音圧値の関係を表した「骨導-音圧」曲線を作成する予定である.
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Causes of Carryover |
当初,購入備品として音響計測用頭部マネキンの購入を検討していたが,打撃実験の耐久性の懸念から,本研究室で自作した石膏による頭部模型を用いた.次年度はサポーターへの組み込みのための小型の加速度センサとマイクを追加で購入する予定である.
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