2022 Fiscal Year Research-status Report
「コンタクトスポーツ難聴」の提唱と次世代型サポーターの開発
Project/Area Number |
21K11416
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
濱西 伸治 東北学院大学, 工学部, 准教授 (00374968)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コンタクトスポーツ / 難聴 / 剣道 / アメフト / 3Dプリンタ / 衝撃低減 / 骨導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,頭部に激しい衝撃を伴う「コンタクトスポーツ」の選手に見られる難聴を「コンタクトスポーツ難聴」として提唱し,それらの原因となる脳震盪などの過大な骨導を未然防ぐための防具・ヘルメットを開発することを目的としている. 剣道面防具用のサポーターとして,衝撃低減として頭頂部に使用する「頭部サポーター」と,外耳道内への過大な騒音を防ぐ「耳部サポーター」の2種類を3Dプリンタにより作成し,石膏製のヒト頭部模型を用いて打撃実験を実施した.その結果,頭部と耳部サポーターを面防具へ併用して装着することで,単体での使用よりも外耳道内の騒音の低減効果がより発揮されることが明らかとなった.また,試作したサポーターを剣道競技者に試装して打突を行ったところ,サポーターを装着した頭頂部では衝撃低減率が大きくなる一方,後頭部では低減率が低いことが確認された. アメリカンフットボール(アメフト)は,頭部が繰り返し脳震盪などの損傷を受けた結果,精神症状や行動異常,知機能低下などを発症する慢性外傷性脳症(CTE)の発症割合が高いと言われているが,現状,アメフトのヘルメットはクッションと突起を並べた単純な構造になっているため,脳震盪を完全に予防できていない.そこで本課題では,アメフト選手の安全性を確保するため,3Dプリンタを用いて骨導を低減するサポーターを試作してヘルメット内部の一部に装着した.石膏製のヒト頭部模型に試作したヘルメットを被せて打撃実験を行った結果,既存のヘルメットと比べて13%の衝撃低減効果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンタクトスポーツの複数の競技において,それぞれの競技の特質に合わせつつ,衝撃低減・騒音的減に効果的なサポーターを試作することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,提案したサポーターに過大な衝撃が加わった際に,遠隔(無線)でデバイスに送信するシステムを構築中であり,2023年度に試作品が完成する予定である.
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Causes of Carryover |
当初,購入備品としてサポーターへ組み込むための小型の加速度センサとマイクを追加で購入する予定であったが,既存のセンサを用いることで対応した. しかし,今後試作予定の遠隔(無線)システムを組み入れた高機能サポーターには,これらに適した仕様のセンサを新たに購入することとした.
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