2021 Fiscal Year Research-status Report
水中バランス補助ブイ活用による水泳指導法の確立と学校水泳への長期導入の試み
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21K11432
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
若吉 浩二 大阪経済大学, 人間科学部, 教授 (30191729)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有浮力補助ブイ / 水中バランス / 水泳指導法 / 学校水泳 / 安全水泳 / 水平浮き身姿勢 / 背浮き姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪府N小学校4~6年生とN中学校1~3年生の夏季水泳授業(2021年7月~9月)において、開発中の水泳の有浮力ブイ(以下、SBとする)を用いて、指導を行った。その結果、小学校4年生(水泳不得意な児童も含む)でも、SBを装着することで水平浮き身姿勢が取れ、またプールの壁をけってのけ伸び動作も容易に習得することができた。加えて、安全確保の観点から、水平姿勢からの立位姿勢も問題なく取ることができた。さらに、9月最終の4年生の授業では、ほぼ全員が背浮き姿勢を保持することができた。夏季水泳授業終了後、小学校教諭および中学校保健体育科教諭へのインタビューでは、①伏し浮きで容易に腰が浮くため「浮く感覚」が身につく、②浮いている時間が長くなりクロールの習得につながる、③背浮きが抵抗なくでき、背泳ぎにスムーズにつながった、④以前より陸上から見ていて溺れそうになっている子が減った等の意見が出された。以上のことから、小学校の水泳授業において、SBの導入は効果的・効率的な指導の展開に有効であるものと考える。 夏季、O大学の水泳の集中授業において、SBの非装着時と装着時における5分間泳テストの泳距離およびストローク数と終了直後のBorgスケール、けのび距離および水中バランス(水平浮き身時の足沈み力)の測定を行った。授業参加者は計27名であった。5分間泳テストでは、SB装着により、ストローク数が減少傾向にあったにも関わらず、泳距離が延長した。またけのび距離も、SB装着により顕著に延長した。水中バランスにおいても、SB装着により足沈み力が減少したことから、より抵抗の少ない水平姿勢が保持できたものと考える。 水泳不得意な学生を対象として、SB装着時および非装着における浮力・浮心重心間距離の変化について実験を行った。この結果により、水平浮き身姿勢に必要となるSBの浮力について、検証を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、小学生4年生以上および中学生を対象を対象とした学校水泳に関わることができたことは、大きな成果であると考える。特に有浮力補助ブイの装着方法の再検討、さらには安全面への対応など、実践的な取り組みを行えたことは、今後の研究において大変有意義であった。 また、障がい者を対象として、安全面や装着方法の検討も行うことができた。ただ、対象者を今後どのようにして増やしていくか、検討する必要がある。 その他、大学生を対象とした水泳授業での実施、また水泳不得意者群を対象に有浮力補助ブイの浮力と水中バランスの測定も実施することができた。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、学校現場と協力し小学校および中学校の水泳授業に有浮力補助ブイを導入する予定である。特に学習指導要領の小学校第3学年及び第4学年「浮く・泳ぐ運動」の「浮く運動では、いろいろな浮き方やけ伸びをすること」において、これまでにない補助具である開発中の有浮力ブイを活用することの有効性を検証したいと考えている。 成人である大学生には、身体のサイズや特徴を踏まえて、より泳ぎやすく、かつ安全面に配慮した適正浮力について研究を進める予定である。 その他、障がい者を対象としてより多くの実践的な取り組みを行っていきたいと考えている。
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Research Products
(4 results)