2023 Fiscal Year Research-status Report
剣道競技における打突動作の可視化と有効性評価システムの実利用化
Project/Area Number |
21K11436
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 隆 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (30634620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 宏之 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (70311553)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モーションキャプチャー / 運動解析・評価 / 音声認識・理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
剣道の打突判定手法として,500fpsのカメラを剣道場の天井に設置し,4種(面,小手,胴,突き)の打突部位の打突の瞬間を直上から捉えた画像から2名の競技者の頭頂部間を繋いだ直線と打突を試みる競技者の腕と頭頂部を繋ぐ直線が成す角度を時系列で解析した手法を2020年度に提案し,初動(競技者の動き始め)の検知精度の影響は受けるが,高い信頼性で評価できる可能性を示せた.この手法を基に2023年度は,さらなる精度向上を図るべく“初動”,“打突部位への竹刀の接触”,“残心”など打突動作中の重要な場面の特徴解析を行った.これまでは“初動”から“残心”まで一連の時系列情報から4種の打突動作を判定していたが,これらの特徴的な場面を解析することで,新たな判定手法としての利用可否を判断するための実験および検証を継続している. また,打突の有効度を評価するべく,打突部位へ竹刀が接触した瞬間の打突力を測定するための実験を開始した.竹刀の振り下ろし動作中の回転中心を先革および中結の移動方向から瞬間中心として算出し,その後,瞬間中心から先革間の距離とフレームレートから加速度を求め,竹刀の質量を含めた特徴量から打突の瞬間の竹刀の打突力を求めることを試みた.2023年度は,撮像カメラの解像度の問題から,竹刀の瞬間中心の抽出精度が低下する結果となったが,今後解像度の改善により打突の有効度評価用の特徴量としての利用の可能性を確認することができた.また,今年度は”面”の打突動作に限定した取り組みとなったことから,今後は他の打突動作への適用も検討していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
打突の有効性を評価するための要素技術となる打突動作の判定手法の精度向上に関する取り組み,また,打突部位に竹刀が接触する瞬間の評価に関する取り組みが主な進捗であるため,実利用化にむけた要素技術統合化の作業は遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
1.打突動作の有効性を客観的に評価するシステムの実利用化 2020年度に提案した競技者の打突動作を解析する手法を基に2023年度に試みた新たな解析方法の検討を継続し,打突判定の精度向上を目指す.その後,2022年度に提案した競技者の被打突動作を解析する手法を統合し,打突動作判定のための要素技術とする.また,打突動作の有効性評価のため,打突部位へ竹刀が接触した際の打突力を明らかにするための実験を継続し,要素技術としての採用可否を判断していく.さらには,競技者の打突の瞬間を複数台のカメラが最適な位置で撮像するための情報を無線転送する技術の確立を目指す. 2.打突動作の有効性を可視化するシステム 剣道IT化技術として競技大会会場での試合スコアのデジタル表示化が提案され,実利用されてきている.その技術に”竹刀が打突部位へ接触している瞬間”,“競技者が打突を開始する動き初め(初動)の瞬間”等の画像情報を紐づけ,デジタルサイネージとして剣道未経験の観客(応援者)および競技者へリアルタイムで提供することにより競技への理解,興味を深めることの検討を行う.
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Causes of Carryover |
2023年度は競技者の打突判定,打突力解析のために,撮像範囲を限定した環境での撮像画像を用いた実験を実施した.今後の実験に向けて競技会場全体を範囲とする撮像環境整備に着手した段階であり,今後は撮像機器(カメラおよびレンズ等)の準備および機器設置のための環境整備を行う予定である.よって,2024年度は撮像機器および撮像環境構築のための消耗品の購入を進める予定である.
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