2022 Fiscal Year Research-status Report
トップアスリートの心理的能力を向上する新たなメンタルトレーニングプログラムの開発
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21K11438
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
立谷 泰久 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツメディカルセンター, 先任研究員 (10392705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平木 貴子 日本大学, 経済学部, 講師 (00392704)
宇土 昌志 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10648588)
村上 貴聡 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 教授 (30363344)
荒井 弘和 法政大学, 文学部, 教授 (30419460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メンタルトレーニング / トップアスリート / 心理的競技力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、トップアスリートのメンタルトレーニングプログラムを開発するために、トップアスリートの指導者7名を対象に、「トップアスリートに必要な心理的要素とは?」についてインタビュー調査を行った。7名の指導者には、トップアスリートになるために必要な心理的要素を測定するJISS競技心理検査(J-PATEA、1)心理的スキル:①自己コントロール、②集中力、③イメージ、④自信、2)自己理解:⑤一貫性、⑥自己分析力、⑦客観性、3)競技専心性:⑧目標設定、⑨モチベーション、⑩生活管理の3尺度10因子を測定)を事前に説明し、「この10因子の中でトップアスリートになるために何が重要なのか、そしてそれを向上させるためにはどのようにしたらいいのか」について伺った。 7名のデータの概要をまとめると、ほぼ全員が、「①~⑩の因子の全てが大事。またこれらは繋がっているもの」と認識していることが分かった。「これら10因子を向上させるためにはどのようにしたらいいのか?」の質問では、具体的に提示することが大事という回答が多かった。例えば、ある指導者は「イメージを伸ばすためには、練習前に具体的な場面を設定し、イメージさせる」と話された。これはイメージトレーニングの大事な教示と言える。また、別の指導者は「目標設定では、近い・遠い目標を作ることが重要」と述べ、例えば、今年、3年後、5年後、10年後、将来の目標を自分で考えることが大事と語られた。これは目標設定技法の基本のことを述べている。さらに、「一貫性を伸ばすためには、自分を振り返り、自分が持っている特長・長所は何かを考えること、それで自分というものができる」と話された指導者もいた。これは、トップアスリートの「根(哲学)」を作るためのものと言える。これらの語りから得られたものは、今回のメンタルトレーニングプログラムの開発に応用できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の活動の実績としては、前年度のデータ(2名の指導者を対象としたインタビュー調査)を分析し、学会発表を行い、また本研究に関連するJISS競技心理検査(J-PATE)のワークショップも実施した。学会発表では、指導者の視点での「心理的競技力を強くするためには」を改めて認識したという意見が聞かれた。また、「様々な指導者の意見を見たい」という要望も聞かれた。ワークショップでは、本研究で用いているJ-PATEの使い方の指摘を得ることができた。 さらに2022年度の後半には、トップアスリートを指導する指導者7名を対象にインタビュー調査を行った。詳細な分析はまだ十分ではないが、J-PATE の10因子を強くするための有益なデータを得ることができ、これらを向上させる方略について、具体的な示唆を得ることができた。メンタルトレーニングプログラム開発の最初のステップに入ることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、7名の指導者のデータを分析し、学会(日本スポーツ心理学会第50回記念大会)で発表する予定である。そして昨年度の2名のデータを入れた9名の指導者のデータを分析し、論文化を目指す。質的データとして、9名のデータは十分であるが、指導者のみのデータなので、場合によっては、アスリートのデータも収集することも考えている。ただ、トップアスリート、特にオリンピック選手のデータ収集については、2024年にパリオリンピックを控えているため、時期を考慮しながら、データ収集に努めていきたい。その他としては、現在収集しているデータを分析し、心理的競技力(10因子)を向上させるためのメンタルトレーニングプログラム(仮)を作成することを考えている。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも支出が抑えられた
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Research Products
(2 results)