2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11451
|
Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
依田 珠江 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (40348818)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 構え / 見た目 / バッティング |
Outline of Annual Research Achievements |
構えを見てその人の技能のレベルをスポーツの指導者は判断できなければならない。しかし、指導者でなくてもその競技の経験者であればそれは可能である。例えば、テレビでスター俳優が野球選手を演じても、その動作・構えが素人くさく、興ざめしたという経験がある人は少なくないだろう。これはたとえ指導者としての経験がなくてもそのスポーツの熟練度が判断できるということである。そこで、この判断にはどのような情報が必要かを明らかにすることを目的として、2021年度は野球の初心者にバッティングの構えを指導し、それがどの程度の熟練度と感じるかを野球の経験者に観察させた。まず,野球経験のない女子大学生25名(20.4±0.82歳)を野球経験者が指導し、打てそうな構えを完成させた。指導者は大学野球部に所属している男子大学生3名とした。一つ一つ段階を分けて指導し、その指導過程を被験者の投手側、ベンチ側から全身を撮影し、指導の際に発した言葉とともに記録した。完成した未経験者のバッティングの構えと大学女子ソフトボール部員の構えの静止画を野球経験のある男子大学生の評価者10名(20.7±1.41歳)にランダムに呈示し、10cmのヴィジュアルアナログスケール(VAS)によってその構えが経験者か未経験者かを評価させた。ソフトボール部員の評価の平均値は8.5±2.9であった。一方、未経験者の構えの評価は総じて低く(2.1±3.2)、どちらか判断がつかないという評価の目安である数値5を超えたのは1名のみであった。評価後に取ったアンケートによると、多くの評価者がバットの角度、股関節、重心の高さ、脇を見ており、スイングを考慮しながら構えを評価していた。以上のようにたとえ指導経験がなくとも、野球の経験者は対象が経験者か否かを高い精度で判断することができる。今後さらにどのような要因がその判断に重要かを検討する必要があるだろう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初心者への構えの指導を行い、完成した構えの静止画を用いて評価者に呈示し、経験者か未経験者かの判断をさせるところまでは実施することができ、その結果から発展させた内容で次の実験を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は初心者への構えの指導を、指導者の経験の違いから検証する。2021年度は大学野球部の投手による指導だったが、2022年度は元プロ野球投手による指導を行い、完成した構えの静止画を用いて評価者に観察させる。指導過程の違いや視線計測による評価のポイントに変化が見られるのか検討する。また評価者として野球やソフトボールの経験者ではないが、野球観戦が好きな人を採用して経験者との違いが見られるのか調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
備品費、謝金とも2021年度は計画よりも若干少なくなった。備品は視線計測装置が予定していたものより金額が安かったこと、謝金は被験者が2021年度と2022年度に跨ったことがその要因である。2022年度は引き続き被験者への謝金が生じること、指導者への謝金も同様に発生するため、そちらへの支出に使用する予定である。
|