2021 Fiscal Year Research-status Report
Attempt of new electrical stimulation method for maintaining bone mass after sports injury and examination of its applicability
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21K11456
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大迫 正文 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (60152104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 真悟 常葉大学, 健康プロデュース学部, 助教 (10825540)
藤川 芳織 昭和大学, 歯学部, 助教 (60805943)
柴田 俊一 東京医科歯科大学, 北海道医療大学, 特任教授 (80187400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラット / 加重低減 / 経皮通電 / 鍼通電 / VP通電 / 海綿骨骨密度 / 海綿骨骨梁幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験① ベクトルポテンシャル(VP)、針および経皮通電刺激装置による骨量維持効果と、実験② VP装置による部位別にみた骨量維持効果について比較検討することを目的した。 材料は、実験① VP、針、経皮通電刺激の効果の比較実験:実験動物として7週齢のウィスター系雄性ラット100匹を用い、それらを後肢懸垂群:HS、後肢懸垂・VP通電刺激群:HSVP、後肢懸垂・経皮通電群:TE、後肢懸垂・鍼通電群:EAおよび対照群:COの5群に分類し、実験期間終了後、各群を安楽死させて大腿骨を摘出して組織学的に分析した。実験② VP装置による部位別に見た骨量維持効果の比較実験:7週齢のウィスター系雄性ラット80匹を用い、それらを後肢懸垂群:HS、後肢懸垂・VP通電刺激群:HSVP、および対照群:COの3群に分類し、実験期間終了後、各群を安楽死させて大腿骨、脛骨および腰椎を摘出して組織学的に分析した。実験①および②のいずれにおいても、CO以外の群は7週齢から2週間、ケージ内にて尾部を懸垂し、COは同期間正常飼育した。また、CO以外の群の通電条件は、30分/回、1回/日、5日/週、2週間とした。 実験①の結果:COに比べてHSは、大腿骨遠位部の海綿骨における骨密度、骨梁幅に有意な減少が認められた。HSVPとEAの骨密度および骨梁幅はいずれもCOよりもやや低いが、HSよりは有意に高い値を示し、TEはHSVPとEAに次いで高かった。実験②の結果:大腿骨、脛骨および腰椎のいずれにおいてもHSはCOより有意に低い骨密度を示した。HSVPは大腿骨遠位骨幹端および脛骨近位骨幹端の二次海綿骨でHSより有意に高い骨密度を示したが、腰椎におけるHSVPとHSとの差は有意でなかった。 これらのことから、HSVPによる通電刺激は骨膜まで針を侵入するEAに相当する通電の効果が得られることが理解された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨粗鬆症の治療では、薬物や運動療法が一般的に行われているが、前者では薬物の副作用の報告があり、また、後者では身体、特に膝や足関節に痛みがある場合には運動を行えないという問題がある。このことから申請者は物理療法の中でも、通電刺激療法に着目した。しかし、通電刺激による骨量維持効果を検討した先行研究がなかった。そのため、申請者は、まず加重低減によって骨量が減少した骨粗鬆症のモデルラットを作製し、それに鍼通電刺激を行うことによって、それが骨量維持に有効であることを認めている。 しかし、鍼灸針の使用には、医師や鍼灸師のような特殊なライセンスが必要であり、この方法では一般化することができない。そこで、誰でも行えるパッドによる経皮通電刺激の方法の効果について検討した。その結果、一般的な既存の低周波治療器では、電極として鍼灸針を用いる場合には有効であったが、経皮的な刺激は無効であった。また、搬送波を用いた新たな低周波治療器では、経皮通電刺激でも針通電刺激と同等の効果が得られた。しかし、経皮通電では電極を皮膚に貼るために局所の皮膚炎を生じることがあり、また、高い電圧が必要とされるために、患者は通電に伴う違和感、不快感を覚え、これらの解消が経皮通電刺激法の課題となっている。 現在開発中のベクトルポテンシャル(VP)を用いた通電刺激法では、装置内に発生した電場の中に身体各部を置くことによって通電が可能となる。また、予備実験において、VP刺激は針および経皮通電の約1/1000の電圧で骨量の維持効果が認められている。VP装置にはこのような利点があることが推測されており、2021年度の本実験では、加重低減による骨量減少の効果について検討し、実際にその有効性を明らかにした。 このように本研究は、まだ初年度の実験を終えた段階であるが、ここにおいては計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の初年度(2021年度)には、ベクトルポテンシャル(VP)装置が、これまで骨量維持に有効とされてきた針および経皮通電と、同等またはそれ以上の効果を発揮しうることを証明した。今後は、本機のより優れた機能を引き出すために、至適な通電時間、電圧、および周波数を見出す必要がある。また、将来的な臨床への応用を視野に入れると、1週間あたりの介入頻度と、それらの効果との関係性の検証も必要性は高いように思われ、これらの実験は2022年度に予定している。 昨年度実施した実験のデザインは、後肢懸垂させたラットに通電刺激するものである。これをヒトの生活に当てはめて考えると、非活動的な生活や寝たきり状態にあるヒトに対して、通電刺激の効果を検討するものである。しかし、一定期間の後肢懸垂または後肢の不動化の後に、通電刺激を行えば、骨折などの損傷によるリハビリ期間の通電刺激の効果を検討することになる。このような加重低減と通電時期の組み合わせを変えた実験も意味あるものと思われる。 また、本研究の1および2年目には、材料としてラットの骨のみを取り上げている。しかし、変形性膝関節症や関節拘縮を想定し、関節軟骨や膝関節包の構造に及ぼす加重低減や通電刺激の効果を検討することも視野に入れて今後の研究に取り組んでいきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
試薬は開封後早めに使用することが望ましく、包埋用の樹脂(EPON812, MNA, DMP-30)は本研究でも購入したが、これまで開封済みのものを多く使用した。また、免疫染色に用いる抗体を何種類も用いたが、それは高価であるため、他の実験用に以前に購入したもので希釈して凍結してあったため、それを優先的に使用した。このような方法にて倹約して試薬を使用したために、次年度使用額が生じた。この後の実験遂行に伴って、いくつもの試薬を購入することが見込まれており、残額は有効に使う予定である。
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[Journal Article] Effect of transcutaneous electrical stimulation of the different intervention frequency on bone structure of femur in hindlimb-suspended rats2021
Author(s)
Minamizono,W.,Zeng, X.Q., Suitou,H., Yashima,N.,Young, C.W., Ohsako,M.
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Journal Title
Bull. Grad. Sch. Toyo Univ.
Volume: 5656
Pages: 173-184
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[Presentation] Effects of nonattached electrical stimulation on structures of lumbar vertebrate in hindlimb -suspended rats2021
Author(s)
Ohsako,M., Zeng,X.-Q., Suito,H., Minamizono,W., Yashima,N., Yang.C.
Organizer
26th European College of Sport Medicine
Int'l Joint Research
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[Presentation] Effect of transcutaneous electrical stimulations to different sites after down-hill treadmill running on the tissue structure of tibial tuberosity in rats2021
Author(s)
Suito,H., Zeng, X.-Q., Minamizono,W., Yashima,N., Yang.C. Nakai,S., Fujikawa,K. ., Iwamoto,S., Ohsako,M.
Organizer
26th European College of Sport Medicine
Int'l Joint Research
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