2022 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ・文化イベントのサービス品質評価 -コロナ禍でのイベント運営の検討-
Project/Area Number |
21K11465
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤谷 かおる 金沢大学, 人間科学系, 教授 (60257079)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | スポーツイベント / 文化イベント / イベント評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されてから3年が経過している。2022年度は全国782名を対象に「国内文化・スポーツイベントに関するアンケート」をWeb(株式会社マクロミル)で実施した(2023/03/15~20)。ここでは、国内文化・スポーツイベント参加実態及びサービス評価の概要を示す。 イベント参加状況は、文化イベントが536名(68.5%)、スポーツイベントが487名(62.3%)、地域イベントが389名(49.7%)であった。アクティブ系のイベント参加率が低い傾向を示したが、2021年度に比べると「大幅、あるいは少し増えた」が、約3割となっている。イベントへの関わり方で最も多いのが「観る」であり、約7~9割を占めた。スポーツイベントの特徴は約3割弱が選手・出場・参加者となっている点である。 イベントに対する興味・関心が高いのは、文化イベントで564名(72.2%)、スポーツイベントは489名(62.5%)であった。この主な魅力は「ワクワク感」であったが、特に文化イベントでは「感動、非日常感」、スポーツイベントでは「熱狂感、一体感」と違いが示された。さらに、イベントの効果として、「興味・関心、活動参加の促進」「経済活性化」「イメージ・認知度の向上」が期待され、いずれもスポーツイベントの方が文化イベントよりも期待される傾向を示した。 イベントのサービス評価は、おおよそ「基本的なサービス(アクセス・駐車場、料金、安全管理、内容・技術、雰囲気、座席、ゲスト)」「期待・膨張的なサービス(食、情報、イベント、会場、物販、ハイブリット配信)」の2因子構造を示した。これまでスポーツイベントでは「安全管理対策」を「基本的なサービス」として扱ってきたが、文化・スポーツイベントととともに「基本的なサービス」として位置づけられ、重要なサービスとなっていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、イベントが条件付きではあるが徐々に開催され、「文化・スポーツイベントに関する全国調査」として782名(北海道50名、東北44名、関東290名、中部122名、近畿148名、中国32名、四国12名、九州84名)を対象にアンケートを実施することができた。 研究課題(1)の「関与別イベント」実態では、文化イベントの「観る関わり方」が約9割を占める一方、スポーツイベントの興行イベントでは「観る関わり方」が9割であるものの、「市町村や諸団体が主催する」スポーツイベントで約3割弱が「選手・出場・参加者など」での参加実態が示された。イベント形態や規模によって、その関わり方が異なる実態を把握することができた。 さらに、今後の「関与別イベント」の楽しみ方として、文化イベントでは、「観る関わり方」が約7~8割と高いにも関わらず、地域(市町村)や諸団体レベルでの「出展・出演・参加者」やその運営への関わり方は、約1割ほどである。また、スポーツイベントも同様で、「観る関わり方」が約6~7割であるのに対し、地域(市町村)や諸団体レベルでの「選手・出場・参加者」やその運営への関わり方は、1~2割となっている。「観る関わり方」から「出る関わり方(選手・出場・参加者)」「作る関わり方(企画・運営・実施・ボランティアなど)」へ、イベントとの様々な関わり方を模索する必要がある。特に、イベントに対する今後の関わり方の中で、人々が「出る関わり方」「作る関わり方」に抵抗を示す傾向があり、その影響要因は何かをフィールドワークで明らかにする必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、「文化・スポーツイベントに関する全国調査」の分析を進め、研究課題(2)の「文化・スポーツイベントの関与別【出演・出場・参加型、運営型、鑑賞・観戦型】にサービスの構造や影響要因」を分析する。加えて、石川県内文化イベントを事例に、運営実態及び組織体制の課題について明らかにする。特に、文化イベントでの「優れた感染防止対策を行っていたイベントの取り組み」や「運営に関わる組織づくり」に注目して検討する。 2024年度は、スポーツイベントの運営実態及び組織体制の課題について、国内で聞き取り調査を行う。特に、スポーツイベントでの「優れた感染防止対策を行っていたイベントの取り組み」や「運営に関わる組織づくり」に注目して検討する。 2025年度(最終年度)には、学会誌、研究室HPで研究成果を示し、イベント経験者が求める「スポーツ・文化領域別(規模・コンテンツなど)イベント」のサービス評価構造と具体的な運用方法について示す。
|
Causes of Carryover |
「文化・スポーツイベントに関する全国調査」に端数が生じたため、残額となった。 次年度、消耗品で執行する予定である。
|