2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11466
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 幸治 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20584022)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖代謝 / 骨格筋 / 免疫調節システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、運動トレーニングによる2型糖尿病予防に向けた新規骨格筋糖代謝調節経路を確立するために、細胞培養実験を用いて以下の点を解明することを目的とする。 「新規の骨格筋糖代謝調節システムの同定:肥満や2型糖尿病に由来する炎症性サイトカインや酸化ストレスの増加によるOSMの低下が、骨格筋糖代謝調節経路の活性化抑制に関与することを示すとともに、性ステロイドホルモン投与によるOSMの増加が、骨格筋糖代謝調節経路を亢進するか否かを確かめる。」 本年度は課題1を行い、骨格筋培養細胞(C2C12)を対象とし、抗炎症作用等を有するオンコスタチンM(OSM)を遺伝子導入によりノックダウンさせ、骨格筋糖代謝調節経路に及ぼす影響を検討した。遺伝子導入は、OSM抑制のためのshRNAプラスミドベクターを骨格筋細胞に導入し、インスリンやDHEA、DHEAを増加させる栄養成分であるトゲドコロの粉末を骨格筋細胞に添加し、24時間後細胞を回収し、Western Blotting法により、骨格筋の糖代謝調節経路活性及び糖取り込みを検討した。 OSMを欠損した骨格筋細胞において、インスリンやDHEAを添加すると、骨格筋糖代謝調節経路活性や骨格筋による糖取り込みは通常の骨格筋細胞より有意に亢進し、OSMの増加に伴う炎症性サイトカインの増加が、インスリン抵抗性や骨格筋糖代謝活性の不活性化に関与している可能性が示唆された。 また、DHEAやジオスゲニンの投与は、先行研究より、抗炎症作用があることから、本研究においても、添加24時間後の通常の骨格筋細胞においてもOSMの発現が抑制されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では予定通り、1年目に抗炎症作用等を有するオンコスタチンM(OSM)を遺伝子導入によりノックダウンさせ、骨格筋糖代謝調節経路に及ぼす影響を検討した。 Western Blotting法にて既に骨格筋糖代謝活性のリン酸化活性を解析し、糖尿病や肥満の発症機序の解明、及び糖尿病改善に向けた新規の栄養介入の基礎データとなり得る。 また、この研究データを国際学術誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、課題2を行い、課題2では、骨格筋培養細胞(C2C12)を対象とし、オンコスタチンM(OSM)を遺伝子導入によりノックダウンさせ、OSMの有無が筋収縮による糖代謝調節経路への影響を検討する予定である。細胞は、電気刺激24時間後に回収し、課題1と同様に、骨格筋糖代謝調節経路活性や糖取り込みへの影響を検討する予定である。
また、性ステロイドホルモンの前駆体であるDHEAを申請者の先行研究を基に300、500μMの濃度で添加し(Sato et al, Am J Physiol, 2008)、24時間後に細胞を回収し、OSM発現と骨格筋糖代謝調節経路活性への影響を検討する。
次年度以降は、インスリン産生がない、1型糖尿病とOSMの関連を明らかにすることで、運動が血糖値や骨格筋糖代謝へ及ぼす影響に関して検討することで、遅発性の低血糖及び、血糖コントロール悪化の機序を解明することも検討する予定である。
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