2021 Fiscal Year Research-status Report
環境関連因子(季節、地域、大気、適応能)が喘息体質者の運動時の肺機能に及ぼす影響
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21K11523
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
高木 祐介 奈良教育大学, 保健体育講座, 准教授 (70707702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北 哲也 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (40714671)
小木曽 洋介 東亜大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40898136)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 喘息 / 環境 / 運動 / 肺機能 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、全国複数の都道府県の学校にて、体育実技授業でみられる運動を想定した短時間(6分間)の運動負荷テストを四季各々で同時期に実施し、これまでの研究から問題テーマとされた運動誘発性喘息及び運動誘発性気道収縮に関係する種々の環境因子(「季節差」・「地域差」・「大気差」・「適応差」)が喘息体質を有する者の運動時の肺機能の変化に及ぼす影響を明らかにすることである。我々がこれまで行ってきた実験的手法に加え、前回科学研究費研究課題において考案したアンケートによる疫学的手法も駆使して、喘息体質を有する者の運動時の肺機能の変化と種々の環境因子の変化の因果関係を究明する。依然明確化されていない「地域差」と「大気中に浮遊する物質」及び未だ検証されていない「環境適応能の違い」が喘息体質を有する者の運動時における肺機能の変化に及ぼす影響を評価することは、全国の学校やスポーツ現場等での喘息体質を有する者の運動に対し、本邦の特徴を勘案した望ましい気象・環境条件の選択を提示できるものと期待される。 2021年度は、COVID-19の影響によって実験的手法を用いた調査が中止になった。このことは、前年度にて想定しており、そのため、アンケート法による疫学的調査を5道府県にて展開した。その結果、「適応差」及び「咳等の呼吸器症状と住環境とその経緯」に係る後ろ向きコホート研究から、北海道移住における特徴的な結果や黄砂に関する貴重な結果等が得られた。幼少期から調査地に在住する者と他地域からの移転者のデータの経時的変化について、継続して調査しており、2022年春季のデータも揃いつつある。また、2021年度には、運動時の呼気中一酸化窒素濃度の変化に関する未検証の実験も行っており、これまで行ってきた研究で得られなかった運動強度での新たな知見を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」のように、実験的手法を用いたフィールド調査は実施していないものの、5道府県にてアンケート調査を実施しており、既に冬季と春季のデータを得ている。現在解析中であり、本年度、あるいは、来年度には研究成果を公表する具体的な計画も進んでいる。以上から、当研究課題における現在の進捗状況は、「おおむね順調に進展している。」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているアンケート調査は、COVID-19による行動制限があった場合でもデータを収集することができる。そのため、残る夏季と秋季の調査も、無理なく実施できるものと考えられる。また、現在の研究対象地域以外においても、研究協力者が増えつつあり、規模を拡大する可能性もある。今後、それぞれの地域にてデータ収集し続け、各地の研究分担者及び研究協力者だけでなく、関係する専門家とも議論を重ね、アンケート法を用いた疫学的調査におけるデータの公表を目指して、推し進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19に係る緊急事態宣言等発出に伴い、対象地域の学校等における実験的手法を用いた調査が実施できず、各対象地域における4回(四季)の調査は、2022年度及び2023年度に繰り越される予定になりました。そのため、旅費等に残額が生じることになりました。2022年度は予定を変更し、アンケート調査を先に行うため、2022年度末から2023年度にかけて、初年度にできなかった実験的手法を用いた調査を行っていく予定です。
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