2021 Fiscal Year Research-status Report
運動発達の視点を含めた運動器検診の結果の解釈:縦断研究によるしゃがみ込みの変化
Project/Area Number |
21K11526
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
滝澤 恵美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (70325976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 運動器検診 / しゃがみ込み / 柔軟性 / 長座体前屈 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】本研究の目的は、運動器検診の検査項目のひとつであるしゃがみ込みの可不可の結果の解釈に運動器の成長、特に発達の視点を加えることである。しゃがみ込みができない子どもの身体問題として柔軟性の低下が指摘されている。そこで本年度は、身体要因である柔軟性としゃがみ込みの可不可との関係を横断研究により検討した。【対象および方法】協力小学校全児童166名中139名(男児64名、女児75名)を対象とした。柔軟性の指標として長座体前屈を測定し、しゃがみ込みの可不可との関係を調べた。長座体前屈は座高が高いほど有利なため座高で校正した値を用いた。なお、予め、対象者の足関節はしゃがみ込みに必要な20度以上であることを確かめた。成長や発達に関連する変数として、暦年齢、生物学的成熟度、肥満度、日常的な身体活動の活発さ、1年以上実施しているスポーツ活動の種類、生活様式をあわせて調べて数量化理論Ⅰ類による多変量解析を行った。【結果および考察】長座体前屈は、生物学的成熟度に負の影響を受け、暦年齢に正の影響を受けたことから、柔軟性は成長と発達の影響を共に受けると示唆された。しゃがみ込みの可不可は長座体前屈との間に有意な関係を認めたが、その影響力は生物学的成熟度や暦年齢より明らかに小さく、柔軟性との関係は説明力に乏しかった。【結論および意義】柔軟性の増減は成長と発達の影響を共に受けることが明らかとなった。しかし、小学生のしゃがみ込みの可不可と長座体前屈に現れる柔軟性の関係は小さいため、検診結果の解釈にあたっては留意を要する。来年度以降は縦断データを取得し、他の要因も含めた検討を進め、しゃがみ込み動作に関する結果の解釈を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症拡大防止策として調査期間中に対象小学校が休校措置かつ部外者の来校が不可能となったため,縦断研究としての初年度研究データを取得することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は縦断研究である。縦断研究としての初年度データの取得ができなくなった影響により,研究計画として研究期間を1年延長する。
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Causes of Carryover |
感染少拡大にともなう調査活動が制限されたため,予定していた調査活動費の利用がなかったためである。本研究は縦断研究を行うため,研究計画期間を延長し,予算を後ろ倒しにして利用していく。
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Research Products
(1 results)