2021 Fiscal Year Research-status Report
The unconscious mental inhibiting process of human maximal voluntary contraction
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21K11532
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宝田 雄大 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70367093)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | unconscious / maximal strength / TMS / M1 / pupillary size / inhibiting process / volition |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の目的は、主に運動行動に関連した単語(動詞)と形容詞「最大の」との対呈示(暗示連合学習)が無自覚的目標指向性行動に与える影響を調べるための視覚入力プログラム作成と実験システムの確立であった。ここに、暗示連合学習の視覚入力のプログラム及び実験システムの完成、そしてその効果が実証されたことを報告する。 具体的には、1.形容詞「最大の」の印象の9ポイントスケールによる評価、2.無自覚的動機づけのプログラム(Takarada & Nozaki, 2014; 2017; 2018)の変更と修正、3.経頭蓋磁気刺激法(TMS)による単発一次運動野(M1)刺激の誘発筋電図(MEP)を安定的に再現性高く取得するためのTMSプローブ固定、4.コロナ禍の3密を避けるための自動化された実験システム構築等が検討された。 その結果、特に2では握力などの最大筋力の測定時の被験者の「心」に焦点を当て、閾下の運動行動の単語(条件刺激)―例えば「発揮する」―と閾上の形容詞「最大の」(無条件刺激)とが対呈示されるように、無自覚的動機づけプログラムが変更修正された。その後、この暗示連合学習が握力とM1へのTMSで導出されたMEP振幅等と瞳孔径面積に与える影響が調べられた。 その結果、本来運動行動の単語に備わっている前向きなプライミング効果が打ち消されることがわかった。つまり、運動目標―「最大の」力発揮(運動行動状態)あるいは最大筋力(成果)―は「望ましくない状態」として被験者の「心」の中で概念化され、結果的に、ネガティブな感情的反応が誘発される可能性が確認できた。したがって、「望ましくない状態」として表象される最大筋力(を達成する、発揮する)の(運動)目標こそがIkai & Steinhaus (1961)が提案した心理的抑制因子の一つである可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は(a)シャウトが最大筋力に与える影響と(b)形容詞「最大の」と運動行動に関連した単語(動詞)との暗示連合学習が無自覚的目標指向性行動に与える影響を調べることである。初年度の目的は(b)の実験システムを確立することであった。その核心は視覚入力プログラムの作成である。幸い、視覚入力プログラムを完成させ、データ収集とその取りまとめができた。したがって、初年度の進捗状況は計画以上に進展しているといえる。なぜなら、その視覚入力プログラム作成には、高い信頼性と頑強な効果が確認されている無自覚的動機づけ(Takarada & Nozaki, 2014; 2017; 2018)が用いられたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の目的は(a) シャウトが最大筋力に与える影響と(b)形容詞「最大の」と運動行動に関連した単語(動詞)との暗示連合学習が無自覚的目標指向性行動に与える影響を調べることである。 次年度は目的(a)の具体的な方法、たとえば、シャウトのタイミング、最大筋力発揮時の経頭蓋磁気刺激法(Transcranial magnetic stimulation、TMS)による単発一次運動野(M1)刺激の誘発筋電図(MEP)を安定的に再現性高く取得するためのTMS強度(背景筋電図と区別できる刺激強度が必要)や力発揮の指示や仕方(TMS後、力が抜ける)などを検討し、でき次第、データ収集をおこないたいと考えている。 実験実施時には、基本的なCOVID-19 感染防止策(マスクの着用、手洗い、三密の回避)の徹底を心がけ、参加者に過度な負担を強いることなく安全な実施に留意することは言うまでもない。
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Causes of Carryover |
研究の目的は(a)シャウトが最大筋力に与える影響と(b)形容詞「最大の」と運動行動に関連した単語(動詞)との暗示連合学習が無自覚的目標指向性行動に与える影響を調べることである。次年度使用額が生じた理由は、初年度に前倒しし目的(b)をおこなったこと、そしてその研究の核心的な役割を果たす視覚入力プログラムの作成に高い信頼性と頑強な効果が確認されている無自覚的動機づけ(Takarada & Nozaki, 2014; 2017; 2018)を有効活用したことなどが挙げられる。 一方、翌年度の目的は(a)シャウトが最大筋力、運動システム、瞳孔関連神経システムに与える影響を調べることである。したがって、その目的を達成すべく、生じた次年度使用額は翌年度分として請求した助成金と合わせて使用したいと考えている。具体的には、パソコン(PC)用のAD変換データ収集・解析プロセッサの新規購入またはソフトウエアのアップデート、そしてその接続先のPC、あるいは経頭蓋磁気刺激法(TMS)の関連用品とその点検及び補修などが考えられる。いずれにせよ、想定外の費用が発生する可能性は否めず、その使用については慎重に検討し進めていきたいと考えている。
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