2022 Fiscal Year Research-status Report
ゴール型技能改善のための教師用映像テストの作成とその有効性の検討
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21K11542
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉野 聡 茨城大学, 教育学部, 教授 (10334004)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲーム状況の認知 / ゲーム状況の予測 / 注視点 / ゴール型 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間2年目の2022年度は以下の研究に取り組んだ。①フリーな位置へ走り込んでパスを受けるための躓き。②フリーな位置にいる味方にパスを出す躓き。③得点しやすい位置にいる味方にパスを出す躓き。状況判断過程における注視点のみに焦点を当てていた従前の問題に対し、昨年度は認知や予測の視点を加えて習得群と未習得群の違いについて比較検討した。 フリーな位置へ走り込んでパスを受ける上での躓きの研究では,未習得群の対象らは,ボール保持者がフリーでパスを出せる状態にあるかどうか,自分に対する相手のマークがズレているか,走り込んでいるスペースは空いているかどうかの認識のいずれかが欠けているのに対し,習得群の対象者らはそれらすべてを的確に把握しているところに違いがあった。 フリーな位置にいる味方にパスを出す躓きに関する研究では,未習得群と習得群においてみられた顕著な違いは次の通りである。習得群の対象者らはパスの受け手とその守備者との位置関係から「パスをカットされるか否か」を的確に把握できているのに対し,他方未習得群の対象者らはたとえ両者を見ていたとしてもカットされる/されないかどうかを把握できていない点にある。つまり,パスの受け手とそのマークマンの位置関係からパスがつながるかつながらないかの予測力に大きな違いがあった。 得点しやすい位置にいる味方にパスを出す躓きに関する研究では,以下の点が明らかになった。習得群の対象者らは,パスの受け手がパスを受けた後に行う具体的なシュートイメージを持ってパスを出せるのに対し,未習得群の対象者らはそのイメージに乏しい状態でプレイする傾向にある。この点で両者は決定的に異なっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度の2021年度はコロナ禍で進めることが難しかったが,2022年度は対象を集め,実験研究ができるようになったため,上述した実験研究を3つのテーマで実施することができた。概ねゴール型の基本的な技能に関する未習得者の躓きについて検討できていると考えている。今年度はこれらの研究成果を学術誌として投稿すると共に,映像テストの作成及びその信頼性・妥当性の検討を進めていこうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度まずは,もう少し安定した知見となるよう同じテーマで対象者を募りデータ分析を行いながら学術誌として研究成果をあげたいと考えている。加えて本科学研究費としての研究課題として申請した映像テストの作成及びその信頼性・妥当性について検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度は学会等ほとんどがオンラインであったため,使用する機会がなかった。その分60万円程度を繰越すことにした。 それらの繰越金については,今(2023)年度,対面で行われることになった国際学会(AIESEP,チリ,7月及びBERA,英国,9月)に参加し,球技領域および教師教育に関する研究動向の把握に活かしたいと考えている。
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