2021 Fiscal Year Research-status Report
ICTと個別経験データの活用による学習者のセルフメイド型運動指導法の開発
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21K11543
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松浦 佑希 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (90844788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂入 洋右 筑波大学, 体育系, 教授 (70247568)
石塚 諭 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90793703)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 運動学習 / 体育授業 / ICT教材 / 指導方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ICTと個別経験データを活用した学習者のセルフメイド型運動指導法の開発および効果検証を行うことである.現在の教育現場では,限られた時間や労力の中で,子供の個性や多様性に対応し,「主体的・対話的で深い学び」を実現することが求められている.本研究では,大人数に対して主体的で個別最適化された学びを提供するために,ICT技術とビックデータを活用して,学習者によるセルフメイド(ボトムアップ)での学習を可能にする学習方法を提案する. 本研究は5年計画であり,その1年目である本年度は,現在までの研究で運動技能向上効果・心理的効果(楽しさ・主体性)が確認されている(松浦ほか, 2017;2018),バランス課題における感覚経験型指導法とモデル習得型指導法のアプリケーション化を試行し,大学生を対象に予備的な実験を行った.システムとして,学習者の特性,指導方法に対する学習者の評価,学習時の内省,学習目標の達成度などを記録できるようにしてあり,学習者と指導者のための機能と研究で使用するための機能と2つの観点からシステムを検討し,作成した.予備実験では,主に学習者の視点から,入力のしやすさや,わかりやすさ,測定項目の適切さなどの検討を行い,より効果的なシステムに改善するための知見が得られた.特に,学習者が入力する項目については,今後,更なる検討が必要である.研究としては,学習者それぞれの特性などに加えて,学習プロセスや学習の仕方の好み,その学習効果などのデータを大量に収集し分析することで,より個別最適化された学びの提供に繋げていきたいが,現時点では,学習者の入力量の負担が大きいことや項目内容の適切さについて,検討が不十分な点が見受けられた.これらは次年度以降の課題として取り組む.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は,教材として学習者と指導者が使用する観点からのアプリケーションの機能と,研究として学習者の情報を収集する観点からの機能の検討に加えて,感覚経験型指導法を多種目に応用するための実験を進めている.2023年度に小・中学校の器械運動の授業において,開発したアプリケーションを活用した感覚経験型指導法による指導を行い,データの測定を行えるようにするため,まずはマット運動の基本的な技16個を対象に,各技の不変構造を特定するための実験をモーションキャプチャを使用して実施した.現在は,各技の不変構造の特定,注意を向けさせるパラメータの検討,多様な感覚経験をさせる教示内容の検討,安全に指導を行うための先行研究の調査など,データの分析を進めている.また,感覚経験型指導法の多種目への応用を見据え,ダンスと体つくり運動領域における活動内容と指導形態の検討を実施した.ダンスについては,動画教材を用いた指導の効果を検討し,ICTと感覚経験型指導法を組み合わせて指導する可能性を見いだせた.以上のことから,全体としては順調に進んでいるが,実験データの解析と研究成果のまとめがやや遅れていることから,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
マット運動の基本的な技に関する分析をさらに進め,感覚経験型指導法の教示内容で使用する各技のパラメータと多様な感覚経験をさせる教示内容を決定し,開発中のアプリケーションに取り入れる.今年度中に大学生の器械運動の授業において,アプリケーションを活用した感覚経験型指導法に基づく指導を行い,その授業による学習効果の検討を行う.さらに,アプリケーションを使用して収集される学習者の学習プロセスや学習の仕方の好み,その学習効果といったデータについて,学習者の特性と合わせて分析し,学習者の個人特性によって学習プロセスや学習成果がどのように異なるのか,個人特性に応じた指導の在り方について検討する.また,それに関わる研究成果のまとめに取り掛かる.これら研究成果については,学術大会における研究報告だけでなく,学術大会での研究報告によって得られた意見などを踏まえて学術論文を執筆し,国内外の学術雑誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
未使用額が生じた理由については,モーションキャプチャを使用して得たマット運動に関するデータ分析が遅れていることによるものである.2021年度中に器械運動に関する教示データを開発中の感覚経験型指導法のアプリケーションに取り込み,実際に使用して動作確認などを行い,修正箇所の確認や機能の追加などのシステム修正費用として充てる予定であったが,データの分析が遅れており,2021年度中にシステム修正を行うことができず,未使用額が生じた.そのことから,アプリケーションの動作確認とシステム修正は来年度行うこととし,未使用額はその経費に充てる.
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Research Products
(2 results)