2021 Fiscal Year Research-status Report
縄跳び等“弾み運動”による「子どもロコモ」予防・改善プログラムの開発
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21K11554
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
宮口 和義 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (60457893)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | なわとび / 石川なわとび検定 / 二重跳び / YouTube動画 / 小学生 / ギガスクール構想 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍、学校現場での測定・調査は苦労したが、今年度は児童を対象に、二重跳び最高記録を調査するとともに、前跳びによる30秒間および10秒間スピード跳びを測定し、両者の関係を検証し、二重跳び習得に向けた明確な指標を提示することを目的とした。対象は1年から6年の小学生 1022 人(男子 538 人、女児 484 人)だった。二重跳びが1回以上跳べる児童は1年では19.7% であったが、3年で88.8%、6年では93.7% となっていた。5、6 年生でも6%の児童が、二重跳びを1回も跳べないことがわかった。二重跳びと30秒間スピード跳びとの間に中程度(r=0.45)の、10秒間スピード跳びとの間に低い相関(r=0.37)が認められた。二重跳びのレベル別にスピード跳びの記録を比較した。その結果、30秒間で70 回以上跳ぶことができれば、二重跳びを1回跳べることが示唆された。二重跳び練習法の一つとしてスピード跳びが有効であることがわかった。 また、プロのなわとびパフォーマー田口師永氏(元シルク・ドゥ・ソレイユ)に監修してもらい学校体育授業で使える「石川なわとび検定(8 級~1 級)」をつくった。8 級の「前とび編」か ら1 級の「二重跳び編」まで、小学校低学年から中・高校生まで、各レベルに応じて挑戦できる内容 となっている。それぞれの級は連続技の 16 跳躍で構成され、テーマに応じたスキルが習得できるように考えられている。なわを跳ばない“とばなわ編”やリズムを途中で変える“リズムチェンジ 編”もあり、最後の“止め技”にこだわっているのも、これまでに無い「なわとび検定」といえる。その他、ふたりで協力しながら行う「ふたりとび編」や「交差とび編」の動画もユーチューブにアップし、ギガスクール構想の一環として各小学校で活用してもらった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は児童期における「なわとび運動」の有効性について、特に“骨密度の化”“姿勢改善”に注目し検証する予定であった。そのための測定装置として、超音波骨密度測定装置と姿勢評価カメラを購入し準備を進めていたが。新型コロナの影響で測定することが難しかった。しかし、石川県教育委員会からの依頼(体力向上アクションプラン)もあり、今後研究を推進していくための「なわとび運動」の各種プログラムをモデル校で試すことで作り上げることができた。なかでも『石川なわとび検定』は多くのメディア(新聞、テレビ、ラジオ)に取り上げてもらい、県内の学校関係者に広く周知することができた。なかには夏季休暇に親子、あるいは兄弟でこのなわとびプログラムに挑戦してくれた学校もあった。その様子はギガスクール構想として児童に渡されたタブレットに収録されており、コミュニケーションを培うとともに、体育ならではのICT教育の理想の姿を示してくれたように感じた。 また、第10回大学体育スポーツ研究フォーラムを北陸支部で開催することになったが、そのシンポジウム企画を担当することになり、上記研究成果をもとに「大学体育でも使えるなわとび運動」というタイトルで実演を交え紹介した。これまで学校体育で取り上げられなかった新しいなわとび技もあり概ね好評だった。 縄跳び運動の学習を始めた児童が憧れてやまない技として「短なわ前方順二回旋跳び(以下『二重跳び』)」 がある。小学生高学年で全ての子ども達に達成させたい運動課題の一つである。特に二重跳びは、「あや二重跳び(ハヤブサ)」や「三重跳び」などの応用技に通じることから、一跳躍二回旋以上の技を学習する過程において習得が欠かせない。その習得法の一つとしてスピード跳びの有効性について検証でき良かった。実際、現場で試してくれた先生から習得が早くなったとの報告も受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
雪国の北陸においては、これまで「なわとび運動」はどちらかといえば冬期間に行うことが多かったが、次年度以降は年間を通して実践していけるような仕掛けを検討している。特に「石川なわとび検定」に関しては積極的に普及につとめたいと考えている。そのためにも各自が所有するタブレットの録画機能を有効に活用したいと考えている。一例であるが、目標とする検定種目の演技をタブレットに録画し、合格かどうか担任の先生に見せて評価してもらい、合格すれば認定証がもらえる。といったことができないか検討していきたい。学校体育研究会とも連携しながら進めていく予定である。 本年度のメインとなる「なわとび運動」の生理学的な有効性(骨密度、姿勢)の検証については、全国のなわとび熟練者が集まる大会が開催されているので、その会場での測定を検討している。また、福井県はなわとびが全国的にも盛んであり、特に力を入れている学校の中から協力校を探すつもりである。対照群としてはこれまで授業支援を行ってきた学校にお願いするつもりである。 また、新たな試みとして、弾み運動を中心とした縄をつかったダンスや体操を考案していくつもりである。その監修には従来通り田口氏にお願いするつもりであるが、了解を得ている。特に幼児については、大縄跳び等も体験させる中で、認知機能の一つでもある速度見越し能力(移動するランプが一定区間で遮蔽され、その間を通過するまでの時間を予測させる)が高まるのか検証したいと考えている。
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Research Products
(4 results)