2022 Fiscal Year Research-status Report
学校スポーツ事故対策における救急対応システムの構築と体育指導者教育への導入
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21K11558
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Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
山本 利春 国際武道大学, 体育学部, 教授 (30182637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 政志 国際武道大学, 体育学部, 教授 (10535496)
清水 伸子 国際武道大学, 体育学部, 助教 (90808297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 救急対応システム / 学校スポーツ事故 / 体育指導者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校現場の安全管理体制の構築に着目し、各学校現場に応じた緊急時対応計画(以下EAP)の作成と、緊急事態に主に迅速に対応する保体教諭および養護教諭における緊急時対応能力を向上するための方策を検討するため、実状調査及び学校教諭を対象とした安全対策に関する研修とヒアリングを実施した。 学校現場におけるEAPと学校教諭の救命・救急対応に関する調査から、学校現場においては災害時を中心とした危機管理マニュアルがEAPに準じた役割を果たしており、ほとんどの学校に存在しているが、各運動部活動時の事故や怪我の発生を想定した各競技の特性や環境応じた具体的な救急対応については十分な対応準備がなされていないことが明らかとなった。また、学校教諭の多くが学校管理下で起こる重篤な事故や傷病(特に頭頚部外傷の対応)に対して自信を持って対応できない不安を有することがわかった。 学校現場においてファーストレスポンターとなりうる学校教諭に必要な救急対応能力を高めるための救急対応マニュアルとEAP立案のための指導教材の試案を作成した。 救急対応の具体的な手順と方法について示した救急対応マニュアルを教材として、学校教諭を対象とした講習を実施し、内容に関する意見をヒアリング調査し、学校現場で活用する際の問題点や検討が必要な事項について意見交換した。特に高い年齢層の学校教諭においては、熱中症や外傷の救急対応の方法が今の最新の方法ではなく変更以前の方法のままで認識している方が多かった。学校教諭を対象とした救急対応に関するリカレント教育は、AEDを用いた心肺蘇生講習(心臓突然死に対する救急対応:BLS)がほとんどであり、頭頚部外傷、熱中症、過換気症候群の対応のように近年救急対応の進歩した方法を学ぶ機会が少ないことがその原因の一つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて、学校現場での指導・講習の受け入れが難しく、学校教諭への救命・救急対応に関する指導(モデル校として緊急対応計画の立案・活用指導と救命・救急対応講習を対象学校教諭に対して実施)が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
学校現場における緊急時対応計画(以下EAP)に関する調査結果を基に、EAPの立案・活用指導と救命・救急対応講習を対象学校教諭に対して実施し、その効果検証を行う。 また、EAPの立案・活用と救命・救急対応の指導をした学校に対し、本取組に対する教諭に対する意識調査を行う。 得られた知見および改善事項を踏まえてEAPの普及のためのフォーマットや評価シートを作成すると共に、保体教諭に対する救命・救急対応力を高めるための指導用教材およびマニュアル作成を行う。
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Causes of Carryover |
研究対象とする学校現場における調査および介入研究の受け入れが遅れたため、必要物品の購入や先方との打ち合わせなどの経費が次年度に持ち越しとなったため。
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