2023 Fiscal Year Research-status Report
2者間のタイミング調節過程から見る幼児の「協調する力」の評価
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21K11565
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Research Institution | Kobe Shinwa University |
Principal Investigator |
杉山 真人 神戸親和大学, 教育学部, 教授 (00442400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幼児 / 2者間の協調 / タイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は幼児を対象として2者間のタイミング調節課題による「協調する力」の評価を試みるものである.今年度は実験参加者となるペアを幼児同士にし,2者間の協調的な課題遂行の可能性の検証,及び可能な場合の協応パターンの特徴を明らかにすることを試みた.以下に概要を示すと,実験参加者は保育園に通う4歳児及び5歳児であり,事前に同一年齢にて二人一組のペアを構成した.実験課題は基本的には昨年同様であった.ただし,移動する際の速度について,これまでは片方の実験参加者に聴覚刺激呈示等を行い,移動速度を規制していたが,本実験では特段の指示を与えなかった.各ペアのタイミングの一致度の平均値を求めた.結果について,この平均値に基づいてタイミングの一致度の上位群と下位群に分類し次の比較を行った.移動距離では上位群と下位群に差は見出されなかった.これに対し,移動軌道のばらつき及び移動速度の変動係数では,上位群よりも下位群の方が大きくなる傾向を示した.これらのことから,下位群は到達地点へ向けて直線的な移動をしつつも空間的な変動が生じるという特徴が示されたといえる.また,上位群は下位群と比較して協調的な課題を遂行しうる可能性が示唆された. 以上の実験に加え,今年度はこれまでの実験の分析データに基づいて2者間の協応パターンを類型化し,タイミング調節過程に見る幼児の「協調する力」の評価を試みる予定であった.しかし,妥当性の高い知見を得るためには,本実験で行った幼児同士のペアにおけるデータ収集のみでは十分ではなく,成人の実験参加者同士のペアにおける実験結果を踏まえた考察が必要であると考えられた.そこで,成人同士のペアでの実験計画及び2者間の協応パターンの類型化に関する準備を慎重に進めることとなった.現在,追加実験の実施に向けた準備,類型化に関する変数や分析手法の選定等を厳密に行っている段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では「研究実績の概要」に記した通り,実験参加者のペアを幼児同士にし,2者間の協応パターンの特徴を明らかにすることに加え,前年度以前から蓄積しているデータ,具体的には視線パターン,頭部の変位,移動の軌道のデータを用いた協応パターンについての分析を行う予定であった.しかし,先述した成人の実験参加者同士のペアによる実験の実施を行う必要が生じたため,これらの詳細な分析を行うことができなかった.以上の理由から達成度としてはやや遅れていると判断した.一方で追加実験の準備に時間を割くことができたことから,これらを遂行することができれば当初の研究目的を達成することが可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
成人の実験参加者同士のペアを対象とした実験データを追加で収集するとともに幼児同士のペアの実験データとの比較を行う.そして最終的には2者間の一致タイミングや協応パターンの特徴の類型化等を行い,2者間のタイミング調節の傾向を捉えることによって「協調する力」の評価を試みる予定である.
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Causes of Carryover |
当該年度はこれまでの研究課題と類似の実験内容を行うこととなったため,既存の機器備品等を利用すること等によって支出が抑えられたことから次年度使用額が生じた.成人の実験参加者同士のペアによる追加実験に当該研究費を使用する予定である.
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Research Products
(1 results)