2021 Fiscal Year Research-status Report
カシスアントシアニンによるDNA変異細胞の除去促進機構の解析
Project/Area Number |
21K11567
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
永長 一茂 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (70401891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 雄治 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (10321788)
山本 歩 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60523800)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん予防 / ショウジョウバエ / 食品 / カシス / 細胞除去 / アントシアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
がんはゲノムDNAへの変異蓄積に起因する腫瘍細胞の出現により発症する。したがって、変異が蓄積する前の「DNA変異細胞の除去」が効果的ながん予防策のひとつとなり得る。研究代表者らは「正常細胞とDNA変異細胞が混在し、かつDNA変異細胞のみが蛍光を発するショウジョウバエ」を用い、DNA変異細胞の除去を促進する食品の探索を行っており、既に複数の候補食品を見出している。本研究は、この中で活性成分の特定に至っているカシスを対象に、DNA変異細胞の除去促進に必要なカシス成分の構造、およびその作用機構の解明を目指すものである。 令和3年度は、DNA変異細胞の除去促進に必要なカシス成分の構造決定を目的とした実験を行ったものの、結論には至らなかった。その主因が実験系の安定性が失われた点にあったため、実験系の見直しに多くの時間を費すことになった。現時点で実験系の再確立には至っていないものの、問題解決には近づいていることから、令和4年度には目的達成のための実験が行えると見込んでいる。 令和3年度に行う予定であった実験が年度内に完了しないことがわかったので、別のアプローチでの解析も可能にするために、DNA変異細胞の除去を検証する動物実験系を新たに導入した。この実験系では変異原を用いてショウジョウバエ体内にランダムにDNA変異細胞を出現させるため、自然界により近い現象が観察できるといった利点がある。新たに導入した実験系でも、本研究以前に同定したDNA変異細胞除去促進食品の効果が再現されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗が遅れた最大の理由は、「正常細胞とDNA変異細胞が混在し、かつDNA変異細胞のみが蛍光を発するショウジョウバエ」を用いた実験系の安定性が低下し、それに伴い、実験系の再確立を目指した実験に多くの時間を費やしたためである。 令和3年度に行う予定であった実験が年度内に完了しないことがわかったので、より間接的ではあるものの、別のアプローチからDNA変異細胞の除去を検証する動物実験系を新たに導入した。これにより、本研究以前に同定したDNA変異細胞除去促進食品の効果が、同手法でも再現されることがわかった。この点については「当初の計画以上に進展している」といえる。 両者を総合し、現在までの進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、安定性が低下している実験系の再確立を目指す。再確立後、元の計画通りDNA変異細胞の除去の促進を規定するカシスアントシアニンの構造を明らかにすることを目的とした実験を行う。同時に令和3年度に新たに確立した実験系でもカシスアントシアニンの評価を行う。その後、令和4~5年度に行う予定であった実験に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
理由:研究の進みがやや遅れ、研究進展に伴う支出が減ったため。また、コロナ禍において学会がオンライン開催となり、それに伴い旅費等の支出が減ったため。
使用計画:令和4年度では、まずは研究が計当初計画通りに進まなかった原因である、DNA変異細胞除去程度を調べるための実験系が安定化させる。それにより研究を加速し、支出が増えることになる。研究の遅れを取り戻すべく人件費への使用が多くなることも予想される。
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