2022 Fiscal Year Research-status Report
若年期における座位行動の健康リスクを低減させる生活様式の構築に向けて
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21K11573
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原 丈貴 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40420723)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 座位時間 / 大学生 / 歩数 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度は,運動習慣のない大学生を対象に,座位時間の差異によってどのような群間差がみられるのか検討した.その結果,座位時間の差異は体重には影響しないものの,座位時間の長い群の方が睡眠時間が短くなること,また,日々の生活に対する活力等については,座位時間の差異による差はみられなかったことを報告した. サンプル数が充分でなかったことから,昨年度も引き続いてデータ収集を行う予定としていたが,対面授業の制限下のもと,十分なサンプル数を確保することができなかった.そのため,既存のデータを用いて,大学生における座位行動の学年差と歩数との関係について検証を進めた. その結果,平日の座位時間は,1年生の方が4年生に比べて有意に長く,また,1年生は30分以上継続した座位時間および60分以上継続した座位時間の累計時間が有意に長いことが認められた.さらに,1年生は30分以上継続した座位時間において,1バウトあたりの座位時間が有意に長く,60分以上継続した座位時間では,バウト数が有意に多かった.1日の歩数との関係をみると,1年生では,30分以上継続した座位時間,および60分以上継続した座位時間の累積時間と歩数に有意な負の相関が認められ,4年生では,1日の座位時間と歩数に有意な負の相関が認められた.1年生の場合,平日は講義の時間数が多く授業時間外の活動内容が歩数に反映されると推測されるため,1日の座位時間と歩数に関係性がみられなかったと考えられる. 以上のことから,大学1年生は,4年生に比べて1回あたりの座位時間が長いこと,また長時間の座位時間の出現頻度が多く,それらの座位行動と歩数が関係することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画を遂行するための研究備品は既に揃っているものの,当初の計画において令和3年度と4年度に実施を予定した研究が,新型コロナウィルス感染症の影響によりサンプル数を集めることが十分にできず,予定通りに進めることができなかったことから,進捗状況の評価を「やや遅れている」とした. 新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行され,学内での活動制限もほぼなくなり,大人数の授業も対面で実施されることとなったため,令和5年度はこれまでに比べるとデータが収集しやすい状況であると考えられる.現時点においては予定していた研究の成果をまとめるにあたって充分なデータ数が揃っている状態ではないため,今年度は進捗状況を回復できるよう,データの収集に注力して研究を進めて行きたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度,4年度は予定通りに研究を進めることが難しい状況ではあったが,対面授業も再開されるようになったため,今年度は先ずはデータの確保に注力し,座位時間が体組成や体力等におよぼす影響について検証を進めていく. あわせて,部活動も制限なしでの実施が認められるようになったことから,運動習慣の有無,あるいは運動量の差異により,座位行動が体組成,筋力,抑うつ度に与える影響は異なるのかどうかについても検証を進めていけるよう,部活動やサークルに所属する学生を対象とした測定も進めて行く予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,旅費の支出が当初の予定よりも大幅に減少したこと,また,学生への測定を依頼する機会の確保が困難であったことから,測定に係る機材や消耗品の支出も抑えられたことから,次年度使用額が生じることとなった.
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