2021 Fiscal Year Research-status Report
柿タンニンが関与する腸内細菌叢の変化と肥満予防との関連
Project/Area Number |
21K11587
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
松村 羊子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (80412154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栢野 新市 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40412150)
伊藤 利洋 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00595712)
今北 英高 畿央大学, 健康科学部, 教授 (00412148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 柿タンニン |
Outline of Annual Research Achievements |
柿タンニンは高分子で、複雑な構造をしており、強くたんぱく質と結合する性質をもつ。そのため、消化吸収しないといわれてきたが、筆者らは食餌として摂取したタンニンが生体内で低分子化している可能性があることを見出している。そのタンニンを体重減少に関与するとされるバクテロイデス門の菌株が分解できるのかを検討するため、まずは低分子化したタンニンを特定することを検討した。タンニンを酸加水分解して低分子化し、HPLCによって分析を行った結果、分解によってHPLCのクロマトグラムは変化し、分解物のピークが出現した。そこで、タンニンを大量に酸加水分解処理し分取HPLCにかけるために精製処理を行っている。ピークが分取でき、化合物が単離できた際には、その構造を特定するべく分析を続けている。また、バクテロイデス門の菌株による分解に関しては、培養条件の設定を検討中である。 また、柿タンニンの肥満予防効果を評価するため、柿タンニンを添加した高脂肪食をラットに投与した動物実験を実施した。飼育期間は11週間である。その際、糞便中の腸内細菌叢を分析するために糞便を飼育期間中4回採取した。体重の推移、摂食量を記録しているが、詳細な解析は今後進めていく。解剖では組織(肝臓、腎臓、心臓、精巣上体周囲脂肪組織)、血液、下肢筋肉組織(長趾伸筋、ヒラメ筋)、盲腸内容物などを採取した。これらの採取したサンプルについては、詳細に分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンニンのバクテロイデス門の菌株による低分子化の検討においては、菌の培養条件検討に時間がかかっているが、検討を進めている。 タンニンの生体内における腸内細菌叢の変化は、動物実験を行っているので、今後さらに進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
バクテロイデス門の培養条件が設定できれば、購入した菌株をタンニン添加培地を用いてスクリーニングし、タンニン添加により増殖効果がある菌株を選定する。さらに、培養液をHPLC分析し、低分子化した分解物によるピークが酸加水分解物と比較し、分解物の構造の特定を行いたい。 また、動物実験によって得られた組織、血液、筋肉、盲腸内容物などを詳細に分析する予定である。具体的には、組織についてはORAC値による抗酸化性の評価を行う。血液についてはORAC値の測定、コレステロールや中性脂肪などの測定、インスリンや炎症性サイトカインの測定などを行う。筋肉については、横断面積の測定を行い、盲腸内容物や採取した便については、次世代シークエンサーによる16s rDNA解析(外部委託)を行う。
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Causes of Carryover |
理由として、発注した消耗品が届かず支払いができなかったことと、コロナ禍での学生対応で十分な研究活動ができなかったことの2件があげられる。 発注したものは、そもそも研究に必要であったものなので、次年度に繰り越して納品されたため、引き続き使用する。 コロナ禍で多忙となり十分に研究できなかった分は、そもそも今年度は条件検討をする予定だったものであるが、次年度に繰り延べて研究に使用予定である。当該の今北教授には筋肉組織の分析に使用していただく予定である。
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