2022 Fiscal Year Research-status Report
The roles of bioactive lipids in the regulation of neuromuscluar synapse formation
Project/Area Number |
21K11590
|
Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
荒川 正行 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (90398868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我妻 玲 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (00347121)
三橋 弘明 東海大学, 工学部, 准教授 (20466220)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 神経筋接合部 / 培養筋管細胞 / 生理活性脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会が進む本邦では、健康寿命の延伸が大きな課題となっている、健康的で豊かな日常を送るための重要なことの一つは、自由に身体を動かせることである。本研究では、運動神経ー骨格筋を結ぶ一連の神経筋シナプス(神経筋接合部:NMJ)に焦点を当て、生理活性脂質におけるNMJの制御機構について解析を行なっている。我々はこれまでに生理活性脂質の一つであるビタミンDが骨格筋に直接作用して、NMJ形成制御に関わることを見出している。本年度は、市販化合物ライブラリーの中から、生理活性脂質の中からステロイドホルモン類の構造を有する化合物を抽出し、アセチルコリン受容体(AChR)凝集に与える影響を調べた。その結果、数種のステロイド系化合物では、単独では、AChR凝集は促進しないが、agrin作用と協調してAChR凝集に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、ビタミンDはagrin作用と協調するために、agrin及び活性型ビタミンD(VD3)に対する培養筋管細胞への影響をトランスクリプトーム(RNA-seq)解析を行った結果、NMJ形成に影響する数種の遺伝子発現変化を明らかにした(分担研究者1)。その遺伝子変化に対し再現性をリアルタイムPCR法で調べたところ、mTOR制御に関わる遺伝子AがVD3濃度依存的に発現が上昇することを確認した。この遺伝子Aは培養筋管細胞においてVD3による変化はこれまでに報告されていない。さらに、昨年度確立した神経筋シナプス可視化ゼブラフィッシュモデルを用いたagrin及びビタミンDに対するNMJ形成へ影響では、agrinとVD3を添加し3日目において、共焦点レーザー顕微鏡で観察したところNMJ可視化(rapsyn-EGFP)の輝点の数やNMJ面積がコントロールよりも増加傾向があることが示された。現在、その再現性と薬物濃度について詳細に調べている(分担研究者2)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、細胞培養用の96穴プレートや試薬の流通は、本年度も遅れが生じていて、購入に苦労しているのが現状である。 しかし、生理活性脂質のライブラリーの中に興味深い化合物、NMJ制御関連遺伝子の発現変化、神経筋シナプス可視化モデルにおいて、興味深い結果が出てきているので、分担研究者と協力して研究を進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、分担研究者の1人が退職により、本研究から離脱することになったが、網羅的なトランスクリプトーム解析により、ビタミンDに対するNMJ制御関連遺伝子の変化が見られたので、その遺伝子について培養細胞及び動物モデルを用いた解析を続ける方針である。引き続き、AChR凝集活性を示す生理活性脂質の取得と培養細胞および動物モデルを用いた神経筋シナプスの制御メカニズムを解析し、加齢・神経筋疾患の新しい予防・治療法の可能性を追求する。
|
Causes of Carryover |
今年度、必要な培養プレートの入手に時間がかかったために、次年度に購入予定とした。次年度に、全額使用する計画である。
|
Remarks |
https://www.bikaken.or.jp
|