2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11591
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
安倍 知紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00736605)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 骨格筋 / 生体リズム / 体内時計 / 肥満 / ロコモティブシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、社会の24時間化は食事や睡眠といった生活リズムの乱れを引きおこし、さまざまな疾患の発症に関わると考えられている。しかし、生活リズムの乱れが疾患を発症させるメカニズムは明らかでない。本研究は、生活習慣の乱れ、とくに食事リズムや睡眠リズムの乱れが骨格筋機能に与える影響について、マウスを用いて明らかにすることを目的としている。本研究計画の1年目にあたる令和3年度は、照明時刻を変えることによって誘導した時差ぼけモデルマウスと、時間制限給餌により食餌時刻を乱した食リズムの乱れモデルマウスを用いて検討を行った。得られた知見と今後の予定は以下の通りである。 〇時差ぼけモデルマウス 8週間の時差ぼけにより、マウス腓腹筋においてミトコンドリアDNAが減少すること、握力が低下することを見出した。令和4年度は時差ぼけにより骨格筋のミトコンドリアDNAの減少メカニズムを明らかにするために、骨格筋に入力される神経系のシグナルに対する時差ぼけの影響について検討する予定である。 〇食リズムの乱れモデルマウス 8週間の食リズムの乱れにより、脂肪組織において脂肪分解に関わる酵素の活性が有意に低下していた。このことは、食リズムの乱れにより脂肪分解能が低下することで肥満を誘導する可能性を示唆している。しかし、上流にあるアドレナリンとノルアドレナリンの血中の濃度は食リズムの乱れにより変化しなかった。令和4年度は、食リズムの乱れが脂肪細胞においてアドレナリンシグナルの減弱(アドレナリン抵抗性)が惹起されているかどうかを検討する予定である。また、アドレナリン抵抗性は脂肪組織特異的な現象かどうかを明らかにするために、骨格筋においても脂肪組織と同様に検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初は研究計画通りに実験を遂行し、結果を得ることができた。しかし、令和3年度の途中において12月から申請者の所属する研究機関の事務担当部署へ1年間異動することとなり、研究業務は兼務という形で遂行することとなった。そのため、12月から令和4年3月までの4か月間は研究業務に専念することができず、研究計画をすべて遂行することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画当初の予想通りに実験結果が得られているため、大幅に研究計画は変更せずに令和4年度も研究を進めていく。研究計画当初には想定していなかった、1年間の申請代表者の所属部署の異動があったため、研究協力者に分担することで研究実施の遅延をなるべく小さくするように進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
令和3年12月より、申請代表者が所属する機関内の事務担当部署へ異動し研究業務は兼務となったため、12月から令和4年3月までの4か月間は研究業務に専念できず研究計画を消化できなかったため。令和4年度において、令和3年度内に遂行する予定であった、時差ぼけマウスの骨格筋の分子生物学的解析に使用する予定である。
|