2021 Fiscal Year Research-status Report
A mechanism underlying the inhibition of steatohepatitis via FoxO3
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21K11595
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 利光 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 技術職員 (70380962)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Foxo3 / NASH / 肝臓 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞特異的Foxo3欠失マウス(LKO)は、脂肪肝にはなるが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進行しない。Foxo3転写因子は、肝臓の脂肪合成や老化の基盤となる細胞レベルの軽微な炎症を制御すると考えられることから、炎症を惹起されやすいマクロファージ特異的Foxo3欠失マウス(Lysm-Foxo3KO)とLKOマウスを交配したダブルコンディショナル欠失マウス(DCKO)でNASH誘導されると予測している。現在、33週齢時点では、DCKOマウスとコントロールマウスの体重、摂食量に有意差はない。表現型が現れるのはmiddle age以降と予測しているため、今後も観察を継続する。 上述のモデルとは別に、LKOマウスにGAN飼料(高脂肪・高コレステロール・フルクトース)を与えて人工的にNASH化誘導する実験群を作製し、Foxo3欠失による影響を検証した。開始後21週経過時点で、マクロファージマーカーであるF4/80免疫染色は、予想と異なりLKO-GANでCnt-GANより有意に減少していた。サイトカイン遺伝子群や活性化星細胞マーカーαSMA遺伝子発現も同様のパターンを示していることから、LKOマウスではマクロファージの浸潤が抑制され、活性化星細胞が少ない可能性がある。しかしながら、活性化星細胞から分泌されると考えられるコラーゲン遺伝子Col1a1は同程度発現し、シリウスレッド染色によるコラーゲン沈着・線維化程度の評価でも、LKOマウスとコントロールマウス間で有意差がなかった。これらの結果と、開始後21週経過の線維化自体が未だ進行途中であることを併せて考えると、線維化途上の一時的なマクロファージの変化を捉えている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画通り、交配によりダブルコンディショナルKOマウス(DCKO)を作出し、通常飼育下で飼育中である。DCKOマウスでNASHが誘導されるかどうか観察を継続する。 また、計画にあるようにLKOマウスにGAN飼料を与えて人工的にNASH化する実験群を作成し、肝細胞におけるFoxo3欠損の影響を検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
DCKOマウスの表現型評価を継続する。体重増加などNASH化やFoxo3欠損の影響が観察された場合、予定通り肝臓から全細胞を対象にシングルセルを調製し、シングルセル解析システム(C1及びChromium)を用いてシングルセル単位でcDNAライブラリーを構築し、次世代シーケンサーによる包括的トランスクリプトーム解析を行う。この解析データと公開されている野生型・高脂肪食等の実験モデルデータの比較解析を行い、Foxo3依存的に変動する遺伝子群とマクロファージのサブセットを同定する。それにより、Foxo3を基軸としたNASH発症機構を明らかにしたい。 また、LKOマウスにGAN飼料を与えたNASHモデル実験群における解析を引き続き行う。
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