2023 Fiscal Year Annual Research Report
A mechanism underlying the inhibition of steatohepatitis via FoxO3
Project/Area Number |
21K11595
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 利光 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 技術職員 (70380962)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Foxo3 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝がん |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞特異的Foxo3欠損マウス(LKO)は、脂肪肝にはなるが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進行しない。Foxo3転写因子は、肝臓の脂肪合成や老化の基盤となる細胞レベルの軽微な炎症を制御すると考えられることから、炎症を惹起されやすいマクロファージ特異的Foxo3欠損マウスとLKOマウスを交配したダブルコンディショナル欠損マウス(dcKO)で通常飼料によるNASH誘導を試みた。52週齢時点で、dcKOマウスにNASH化の兆候が見られないため、線維化誘導負荷をかけるため55週齢から一部マウスに高脂肪食(HFD)を与えて6ヶ月間飼育した。dcKO-HFD群で対照群(flox-HFD)と比較して有意に体重が減少し、肉眼的に50%(2/4匹)で肝がんが認められた。両群の肝臓で脂肪滴の顕著な蓄積が見られ、繊維化の進行も確認された。線維化に有意差がないが、dcKO-HFDマウスではがん発生個体が観察されたことから、高脂肪食負荷によりdcKOマウスのNASH化がより早く進行したことを示唆している。 上述のモデルとは別に、対照群、LKOマウスにGAN飼料(高脂肪・高コレステロール・フルクトース)を与えて人工的にNASH化誘導する実験群を作製し、Foxo3欠損による影響を検証した。GAN開始後32から38週で、線維化の進行度はLKOマウスで有意に高く、血漿線維化マーカーMac-2bpも一致するように有意に高かった。興味深いことにFoxo3の標的遺伝子で、脂肪酸代謝制御因子であるSrebp1c発現がLKOマウスで有意に低下し、コレステロール律速酵素Hmgcr遺伝子発現が有意に増加していた。NASH化が進行したburned-out NASHではSREBP機能が低下することが知られており、Foxo3欠損によるこれらの遺伝子発現の変化がLKOマウスの線維化悪化の一因となった可能性がある。
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Research Products
(1 results)