2023 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝疾患における薬物代謝酵素発現変動と薬物相互作用予測への応用
Project/Area Number |
21K11599
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
浦丸 直人 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (90424069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長部 誠 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (40700985)
樋口 敏幸 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50264289)
村橋 毅 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (70340445)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シトクロムP450 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 薬物代謝 / 生活習慣病 / 薬物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、食生活の乱れや運動不足などによって肝細胞に脂肪蓄積が起こる肝疾患である。NAFLDは、病態が殆ど進行しない非アルコール性脂肪肝(NAFL)と脂肪肝に炎症を伴い、病態の進行と共に肝硬変や肝臓がんを発症することもある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分類される。NAFLD患者は、糖尿病、肥満、脂質異常症などを合併している場合が多く、食事療法や運動療法のほか、各種薬剤を服用しているケースが多いため、NAFLD患者では、服用薬剤の代謝および体内動態に影響を及ぼすことが懸念される。本研究では、NAFLからNASHへの進展過程における薬物代謝酵素の変動を明らかにするために、NAFLおよびNASHモデルラットを用いてシトクロムP450(CYP)発現レベルでの比較検討を行った。初年度は、脂肪肝が認められるNAFLモデルラット(単純脂肪肝モデル)と脂肪肝に加えて炎症を伴うNASHモデルラット(脂肪肝炎モデル)を作製し、昨年度は、NAFLまたはNASHモデルラット肝CYP mRNAレベルおよびタンパク発現レベルを検討した。本年度は、NAFLまたはNASHモデルラット肝CYP mRNAレベルおよびタンパク発現レベルにて変動が認められたCYP1A2または4A1のCYP活性を測定した。NAFLまたはNASHモデルラット肝CYP mRNAレベルおよびタンパク発現レベルの挙動変動と同様にCYP1A2活性は、対照群と比較してNAFLモデルラットにおいて有意に増加し、NASHモデルラットにおいて有意に減少した。また、CYP4A1活性は、対照群と比較してNASHモデルラットにおいて有意に増加した。本研究で得られた知見は、NAFLD病期進展と各CYP分子種による薬物代謝能との関係性および薬物動態変動を考慮する上で重要な基礎的データとなり得ると考えられる。
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