2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of cytotoxicity due to the generation and accumulation of toxic advanced glycation end-prodcuts (TAGE) in cardiomyocytes
Project/Area Number |
21K11607
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高田 尊信 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20515308)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 / 心筋細胞 / Heat shock protein 90 / オートファジー / LC3 / 心臓線維芽細胞 / 子宮頸癌細胞 / GFP |
Outline of Annual Research Achievements |
ブドウ糖や果糖の代謝中間体である、グリセルアルデヒド(Glyceraldehyde, GA)から生成するGA由来終末糖化産物(GA-AGEs)のうち、特定の構造をもつものこそが、生活習慣病の発症、進展の原因となるという説に基づいて研究を進めた。 心筋細胞の拍動やオートファジーを制御するHeat shock protein 90(HSP90) beta (HSP90beta)を研究対象とした。ラット初代培養心筋細胞にGAを添加させ、細胞内タンパク質をウェスタンブロット(WB)解析したところ、細胞内に、分子量210 kDa前後のHSP90 betaが出現することが明らかとなった。通常HSP90 betaは細胞内で、非共有結合により2量体構造をしているが、SDS-PAGE法によるWB解析をすれば、その構造は破壊され、単量体である90kDaのタンパク質として検出される。したがって、今回検出された高分子化されたHSP90 betaは、GAを原因とする架橋構造を有すると考えられる。同時に、HSP90alphaとbetaの両方を認識できる抗体では、この高分子バンドが検出されなかった。このことは、高分子化HSP90betaの構造解析の糸口となる可能性がある。また、この条件において、HSP90が制御するオートファジータンパク質LC3-IIの産生低下が生じた。 ヒトの正常心臓線維芽細胞に、TAGEが生成すると細胞死が引き起こされるが、生理的濃度の20倍の細胞外TAGEは、細胞死を起こさなかった(Metabolites 12(7), 615, 2022)。 GFPを発現させたヒト子宮頸癌細胞(Hela)にGAを添加すると、細胞死が引き起こされるが、GFPの輝度が上昇(増感)された。これが、細胞死による自家蛍光に由来するものではないことは、コントロールとして通常のHela細胞を用いて証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グリセルアルデヒド(GA)に由来する終末糖化産物(GA-AGEs)のうち、特定のGA-AGEsだけが、強い細胞毒性をもち、生活習慣病の原因となるという(毒性終末糖化産物(Toxic AGEs, TAGE))原因説に基づいて、当該研究を進めている。 しかし、今回、GA添加実験により検出した「210 kDa前後のHSP90beta」がTAGEであることを証明できていない。 さらには、理論上は、GAを添加することにより、細胞内にTAGEのみしか生成しないわけではない。この予想を裏付けるように、他の研究者による、膵管上皮細胞株(PANC-1)へのGA添加実験において、TAGEとして分類していない3種類のGA-AGEs(MG-H1、Argpyrmidine、GLAP)により糖化されたタンパク質が生成することが報告されている。心筋細胞においても、これらのGA-AGEsが生成していることは予想される。ただし、本年度の研究で検出した「210 kDa付近のHSP90beta」のは架橋構造をもっていると予想される。上記の3種のGA-AGEsは架橋構造を生じないため、少なくとも、この種類のGA-AGEsではないと考えられる。 拍動低下やオートファジー関連タンパク質LC3-IIの産生低下に関与するAGEsが、TAGEであるか否かの検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
210 kDa前後のHSP90betaの架橋構造に焦点を当てる。現在、抗TAGE抗体はポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の2種類が存在する。しかし、TAGE構造(タンパク質に対する、糖代謝物由来の化合物の構造の部分)については、いまだ証明できていない。この構造決定を行うことは容易ではないので、そこにいたるまでのステップとして、架橋構造のHSP90betaを、抗HSP90beta抗体により免疫沈降して、SDS-PAGEで不純物や非特異的結合タンパク質と分離した上で、銀染色により「210 kDa前後の分子量のバンド」のみを特定し、これを切り出し、質量分析により解析する。この操作により、少なくとも、(1)210 kDaの分子を構成するタンパク質のひとつが、HSP90betaであること、(2)HSP90betaとTAGE構造を介して結合したタンパク質が何であるか? を知ることが出来る。具体的なタンパク質が同定されることにより、TAGEが生成した細胞において、拍動低下や細胞死を引き起こす機序が明らかとなり、同時に、オートファジーとの関連性も晃にすることが期待される。 同時に、HSP90betaに存在するであろう、TAGE以外のAGEs構造を質量分析により同定することを目指す。GA添加により生成するAGEsが、TAGEのみであると考えるよりも、他のAGEsと混在して存在すると考えるほうが合理的であるためである。SDS-PAGEにおいて、モノマーとして検出されるHSP90betaについて、質量分析による解析を行い、(1)分子内TAGE架橋構造を作る可能性、(2)TAGEではない、他のAGEs修飾を受けている可能性を追究する。
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Causes of Carryover |
上半期までの研究成果で、研究に一区切りをつけ、当該成果を発表するために論文を執筆、学術誌に投稿していた。論文は最終的には年度内に受理されることはなかったが、下半期は「論文の受理」を目標に、投稿論文の修正等を行うことに時間が割かれ、実験の進捗が遅れることが見込まれた。その一方、次年度においては、当初予定額を約30万円を上回る物品費や特殊な実験操作の外部委託が見込まれたため。
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Research Products
(4 results)