2022 Fiscal Year Research-status Report
摂取カロリー同等/PFCバランス不同食の糖尿病性腎臓病と認知機能障害に及ぼす影響
Project/Area Number |
21K11609
|
Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
山口 太美雄 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (70536292)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 静子 藤田医科大学, 病態モデル先端医学研究センター, 教授 (20183527)
吉村 文 藤田医科大学, 病態モデル先端医学研究センター, 講師 (90466483)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 糖尿病性腎症 / 認知機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常飼料下で飼育したSDT fattyラット(肥満2型糖尿病モデル)の腎臓と脳組織について解析した。生後半年で同じ週齢の正常ラットと比べて、高血糖、腎重量の増加、腎機能マーカー(BUN、尿中アルブミン)の上昇、腎組織では糸球体肥大やグリコーゲンの沈着を示すヘンレループの空胞変性が生じており、糖尿病性腎症の特徴が認められた。一方、脳組織では海馬におけるアストロサイトとミクログリアマーカー、大脳皮質の前頭前野におけるアストロサイトマーカーの減少が生じており、高次機能への影響が推察された。 糖尿病に併発する慢性腎臓病や認知機能障害の発症リスクには、脂質や糖質の過剰摂取以外に塩分摂取があげられる。糖尿病患者では食塩感受性の亢進が生じていることから、食塩負荷をかけた際のSDT fattyラットにおける体重・血糖値・肥満指数・血圧値・腎臓・脳への影響についても検証した。餌への食塩混合は摂餌量に影響することから、0.3%食塩水を飲水として10週齢から20週齢まで摂取させた。結果、摂餌量・体重・血糖値は通常飲水と大差なかったが、血中総コレステロールと中性脂肪が上昇していた。また、血圧値と尿中アルブミンが上昇、糸球体病変と間質領域の線維化が生じ、食塩摂取による腎機能障害の亢進が認められた。脳の組織についてはこれから解析予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている。 理由:SDT fattyラットの購入価格が上がっており、さらに特殊飼料の費用が高額なため、栄養バランス検証実験への着手が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
SDT fattyラットでは、食塩摂取量の増加によって、摂餌量(総摂取カロリーと栄養素のバランス)や体重は変わらないにもかかわらず、脂質異常が進行していることが明らかとなった。糖尿病患者では合併症リスクを減らすため減塩は必須であるが、減塩による血圧以外の効果も考えられた。 総摂取カロリーを統一し、栄養素バランスを変えた実験を実施する。栄養素バランスを変えた実験と食塩負荷実験の結果から糖尿病における食事療法および発症の予防効果について考察する。
|
Causes of Carryover |
予定していた脳に関する解析の一部が次年度に持ち越しになった。そのため、次年度使用額が生じ、抗体試薬等の消耗品購入に使用する。
|