2022 Fiscal Year Research-status Report
Focusing on the lipid bilayer of exosomes as a potential new therapeutic target for neuropathic pain.
Project/Area Number |
21K11613
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
濱村 賢吾 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (30756466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エクソソーム / 神経障害性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームとは、体液中に存在する直径40-150 nmの脂質二重膜の小胞である。近年、疼痛時の血清から単離したエクソソーム中に存在する物質が疼痛強度の指標となることが報告された。しかし、エクソソームと疼痛強度そのものとの関連性は解明されていなかった。我々はこれまでに、坐骨神経を部分結紮した神経障害性疼痛モデルマウス (Partial sciatic nerve ligation: PSNL) の血清エクソソーム二重膜上において補体C5の発現が増加し、痛みを悪化させることを発見した。 本研究では、神経障害性疼痛モデルマウスの血清由来のエクソソームに着目し、エクソソーム二重膜上の補体C5が種々の神経障害性疼痛モデルマウスにおいても同様に疼痛強度の悪化に関与するのかの普遍性を明らかにすることを目的とした。 現在までの研究で、PSNLと同様に神経を部分結紮し作製する神経枝結紮損傷 (Spared nerve injury: SNI) や絞扼性神経損傷 (Chronic constriction injury: CCI) 誘発神経障害性疼痛モデルマウス、および糖尿病性 (ストレプトゾトシン誘発Ⅰ型糖尿病モデル) 末梢神経障害モデルマウスの血清エクソソームにおいては、補体C5の発現が増加することを明らかとした。 一方で、抗がん剤であるパクリタキセル、およびオキサリプラチン誘発末梢神経障害モデルマウスの血清エクソソームにおいては、予想に反して補体C5の発現が減少することを明らかとした。これは、抗がん剤による免疫抑制作用が影響しているものと現在推察しているが、原因については今後の検討課題であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、抗がん剤誘発の末梢神経障害モデル (タキサン系:パクリタキセル、白金系: オキサリプラチン)や、糖尿病性末梢神経障害モデル (ストレプトゾトシン誘発Ⅰ型糖尿病モデル) の薬物を使用するモデルにおいては、動物モデルとして個体間の差が激しく安定せずに計画通りには研究を遂行できなかった。 しかしながら、今年度は上記すべてのモデルマウスにおいて普遍性の検討が実施できたため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
血清エクソソームにおいて補体C5の発現が増加した、①神経枝結紮損傷 (Spared nerve injury: SNI) や②絞扼性神経損傷 (Chronic constriction injury: CCI) 神経障害性疼痛モデルマウス、および③Ⅰ型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン誘発末梢神経障害モデルマウスにおいて、エクソソーム<二重膜上>の補体C5発現が増加するか否かの検討を進める。 また、血清エクソソームにおいて補体C5の発現が減少した、抗がん剤誘発の末梢神経障害モデル (タキサン系:パクリタキセル、白金系: オキサリプラチン) において、原因を免疫抑制作用に着目し解析を試みる。
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