2022 Fiscal Year Research-status Report
New physiological and pathological functions of glycogen metabolism
Project/Area Number |
21K11650
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中田 正範 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10305120)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 1,5-AF / オキシトシン / グリコーゲン / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
視床下部室傍核オキシトシン神経は摂食リズム調節を営み、生体への食情報の入力を適正に制御し、エネルギー代謝の恒常性を維持している。一方、オキシトシン神経活動のリズム変調による不規則な食情報の入力はメタボリックシンドローム(メタボ)を促進する。本研究では、「グリコーゲン代謝の中間産物の1,5-AFは、オキシトシン神経リズムを調律して食情報を適正に制御し、エネルギー貯蔵を調節している。」と仮説を立て検証する。さらに、1,5-AFを用いたメタボリックシンドロームの新規の予防・治療法の確立を目指す基盤研究とする。 本年度の成果として、マウスへの1,5-AF単回脳室内投与による摂食抑制効果を明らかにした。また、1,5-AFの脳室内投与により、室傍核オキシトシン神経で神経活性化の指標であるc-Fosの発現とオキシトシンのmRNA発現が増加する事を明らかにした。また、1,5-AFの経口投与により、野性型マウスは有意に摂食量が低下したが、オキシトシンノックアウトマウスでは1,5-AFの摂食抑制作用が消失していた。ここまでの結果から、1,5-AFは室傍核オキシトシン神経を活性化し、摂食抑制作用を惹起する事が明らかになった。 1,5-AFはマウスから単離したオキシトシン神経の細胞内Ca濃度を増加させた。また、膵ランゲルハンス島からのインスリン分泌も1,5-AFにより促進されることより、今後、オキシトシン神経と膵β細胞を用いて、細胞内シグナリングの解析を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍と大学の動物飼育施設の補修工事により、研究に必要な実験動物の飼育が困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1,5-AFの末梢作用に関して、脂肪組織や肝臓を中心に解析を行う。これにより、1,5-AFによる末梢・中枢性代謝改善効果を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
大学の動物実験施設の改修により、実験動物の飼育が制限された事により、コロナ禍での実験の遅れが増長された。研究の遅れが、使用額の減少につながった。最終年度は、残りの研究経過を順調に進める。
|