2023 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪、筋および骨の量・質的評価から肥満パラドクスを検証する
Project/Area Number |
21K11652
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
沖田 孝一 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (80382539)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥満パラドクス / 体格指数 / 身体組成 / 身体機能 / 健康寿命 / 生活習慣病 / サルコペニア / フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の主要テーマに関する実績を残すことができた。 ・筋、骨、脂肪量と体格指数の関連性の検討:肥満パラドクスを検証するために高齢女性において体重の主構成要素である筋、骨、脂肪量の測定を行い、生命予後と関連する体格指数および身体機能指標への関連性を調べた結果、予想と異なり、筋・骨量は身体機能と明確な関連性を示さず、体格指数に最も相関が強かった脂肪量のみが身体機能に負の関連性を示していた(2021、2022年発表)。ゆえに肥満パラドクスに疑問を持ち、肥満・脂肪蓄積に焦点をあて、研究を進め、肥満指標が心血管疾患リスクだけではなく、最大筋力、持久力、平衡機能、柔軟性などの身体機能に悪影響を及ぼし、自立性を損なう原因になり得ることを明らかにしつつある(日本臨床運動療法学会学術集会, 2023年10月-優秀演題賞受賞)。 ・筋、骨、脂肪量と各組成由来生理活性物質の関連性:各体組成量とその生理・機能的要素の関連を調べるため、各々由来の生理活性物質を測定し解析したが、筋・骨量と各生理活性物質濃度の相関はみられず、脂肪量のみが生理活性物質(アディポネクチン)と有意な負の相関を示していた。ゆえに筋および骨由来生理活性物質濃度は各々の量とは別の要因で制御されている可能性が示唆された。この研究結果は原著として国内学術誌への掲載が決まっている(日本臨床運動療法学会誌Vol.25 No.2. in press)。 ・筋、骨、脂肪量と心血管疾患危険因子との関連―栄養摂取を含めた検討:体格指数と脂肪量以外は心血管疾患危険因子との関係性を示さないことを明らかにしたが、さらに、この関連性における栄養摂取状況の影響も検討し、乳製品・カルシウム摂取量は筋・骨量に関連していながったが、心血管疾患危険因子にも悪影響を及ぼさないことが示された(2023年国際学会発表)。この成果は国内学術誌への投稿を準備中である。
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