2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of medium-chain triglyceride rich diet on cancer outbreak in diabetic mice
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21K11654
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
都筑 馨介 文教大学, 健康栄養学部, 教授 (60222139)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストレプトゾシン / ストレプトゾトシン / 肺癌 / 肝癌 / 子宮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞選択的毒であるストレプトゾシン(STZ)を投与されたマウスは、多飲、多尿、大食、体重減少などの典型的な糖尿病の症状を示し、尿糖陽性、血糖値はしばしば500mg/dLにもなる。そのため、長期にわたって飼育して観察することは困難と言われてきた。 しかし、私は長鎖脂肪酸主体の高脂質食(high fat diet, HFD)により、長期飼育できることを見出した。高脂質食を与えても、30週以上飼育していくと、死亡するマウスが増え、解剖して死因を探ったところ、非常に効率に癌を発生していた。癌種としては、肝癌、子宮癌、肺癌、尿路上皮癌を生じた。本研究では、糖尿病においても、癌の発生を防ぎ、長期に健康に過ごせる食事の検索を行う。本年は、ICRマウスを1回目は84匹(1回目48匹、2回目36匹)にSTZ糖尿病を発生させ、中鎖脂肪酸、一価不飽和脂肪酸(mono-unsaturated fatty acid, MUFA)、食物繊維を多く含む糖尿病治療食を調製し、長期飼育を行っている。1回目の48匹は、4種類の糖尿病治療食を与えたが、60週齢にて全て死亡した(衰弱したマウスに対する安楽死を含む)。病理標本の作製が完了していないものを含めて7匹に癌を発症した。糖尿病を改善させる食材として、中鎖脂肪酸、MUFAであるオレイン酸を多く含むサフラワー油、食物繊維としてコーンスターチ由来の水溶性食物繊維、コーンスターチ由来の不溶性食物繊維、グアーガム分解物(partially hydrolyzed guar gum, PHGG)、イヌリン、難消化性デキストリンを与え、癌の発生状況を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪食を与えると高率に癌が発生することは、再現性良く観察されている。一方、飼料を低脂肪のものに変えると、癌の発生は抑えられるが、糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態、腸管不全その他、糖尿病が関係する様々な病気の発生が増え、死亡も増加する。癌は30週齢以降、多くは50週齢以降に発生するのに対し、ケトアシドーシスなどでは早期の死亡を起こす。これらを比較し、統計的に取り扱う方法について腐心している。それに対し、STZを投与しなかったマウスは30週齢以内で死亡することは極めてまれであり、100週齢を越えても半数以上が生存している。また、健常マウスでは1日5mL程度の飲水量であるが、STZを投与したマウスのうち50mL以上飲水する極めて重篤な糖尿病を発生したマウスは、インスリン皮下注射による治療を行っている。この場合、糖質を多く含む飼料を与えても、インスリンが十分量投与されていればマウスは致死的にはならないが、時に低血糖による死亡例がある。これら、インスリン併用の場合の統計的取り扱いについても検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
使用している動物は、STZで膵β細胞に障害を与えたICR系のメスマウスのみであり、研究の価値を高めるためには、他系統のマウス(C57BL/6系など)の利用、自然発症の糖尿病マウスなどについても調べることがより一般性を高めることになると考え、計画中である。例えばレプチン受容体の自然発症による遺伝的障害を固定したdbマウスは血糖値が500mg/dLまであがり、寿命も通常の三分の一程度とされる。こういったSTZを原因としない糖尿病マウスを用いて、食事と癌の可能性について調べることを検討している。 糖尿病ではインスリンシグナルの異常が背景にあり、これが癌と結びつくのであればインスリンが弱くアフィニティを持つインスリン様成長因子受容体1(IGF-1)シグナル伝達などとのクロストークが考えやすい。分子標的薬など使えそうなツールについても検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
1000円以下の未使用分の端数が生じたため。
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