2023 Fiscal Year Research-status Report
Effects of medium-chain triglyceride rich diet on cancer outbreak in diabetic mice
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21K11654
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
都筑 馨介 文教大学, 健康栄養学部, 教授 (60222139)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストレプトゾトシン / ストレプトゾシン / 高脂肪食 / 癌 / ケトン食 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞選択的毒であるストレプトゾシン(STZ)を投与されたマウスは、多飲、多尿、大食、体重減少などの典型的な糖尿病の症状を示し、尿糖陽性、血糖値はしばしば500mg/dLにもなる。そのため、長期にわたって飼育して観察することは困難と言われてきた。 しかし、私は長鎖脂肪酸主体の高脂質食(high fat diet, HFD)により、長期飼育できることを見出した。長期に飼育し、死亡したマウスを解剖して死因を探ったところ、高効率に癌を発生していた。本研究では、糖尿病においても、癌の発生を防ぎ、長期に健康に過ごせる食事の検索を行う。これまで、ICR系マウスを用いて実験を行ってきたが、STZ投与によるICRマウスの新規の膵障害性糖尿病マウスの産生は、2023年3月の27匹を最後に終了し、アウトカムを生命寿命とし、5種類の飼料で飼育を続けた。5種類の飼料とは、高糖質の米国栄養学研究所の標準齧歯類資料AIN-76、高脂質食、一般飼料CE-2、CE-2にラードを加えた50%ラード飼料、ならびに、自ら考案した食物繊維を多く含む中鎖脂肪酸を配合した飼料である。毎日観察し、3か月に1度の血糖測定、適宜の血中ケトン体の測定、週1回の体重測定、エサ摂取量と飲水量の記録を行った。急激に体重を減らしたり、動きが悪かったり、エサを接種しないなどのエンドポイントに達したマウスは採血したのち、安楽死後、病変や死因の探索を行った。死亡して発見したマウスも解剖した。2023年3月で飼育していた64匹の糖尿病を発症させたICRマウスは、2024年5月には4匹まで減少し、死因および飼料の種類について解析中である。 また糖尿病による影響の普遍性を確かめるため、ICR系統のマウスに加え、C57BL/6系統のマウス、膵臓を原因としないⅡ型糖尿病のモデルであるdb/db系統のマウスと比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は生命寿命をアウトカムとしているため、精度の良い実験を行うためには、最後の一匹が死に絶えるまで観察を続けるのが望ましい。途中で打ち切ることも可能であるが、それは実験の精度を落とすので、継続して観察を続けるのに時間がかかっている。 マウスの寿命は約2年半といわれているが、本研究室で飼育したマウスではICR系マウスの最長寿命は2.95年、C57BL/6系マウスの最長寿命は2.58年であった。これだけの期間となると、糖尿病を発症させていないマウスでもいろいろな病気を発症する。糖尿病の影響は、その生来の病気の発生の上に影響を与えているため、本来、その系統のマウスのもつ特質について十分な検索を行うのに時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
生命寿命をアウトカムとして長期飼育を行った場合、その系統の持つ特性の上に、糖尿病という疾患による影響が表れる。また、ヒトのアドバンスドケアプランニングに相当するマウスの飼育状況も生存に大きな影響を与える。なかなか統制の取れた飼育は困難ではあるが、内容を吟味して普遍性のある発見を報告していく。そのために、C57BL/6系統のマウスにSTZを投与して糖尿病を発症させた、ICR系同様の観察を行っており、本年はその観察を続ける。また、C57BL/6系統のマウスで、自然発生的にレプチンの受容体の変異があるため、高いレプチン、高インスリン値、肥満を呈す2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスも購入し、飼育に着手しているので、長期飼育を行う予定である。
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Causes of Carryover |
生命寿命を観察するため、研究期間を1年間延長し、観察を続けているため。
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