2021 Fiscal Year Research-status Report
肝星細胞におけるレチノイン酸受容体の役割の解明と肝線維化治療への応用
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21K11657
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
目崎 喜弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40431621)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビタミンA / 肝星細胞 / 貪食 / クッパー細胞 / 肝類洞内皮細胞 / 類洞周囲腔 / 肝線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体のビタミンAの大部分は、肝星細胞に貯蔵されている。肝星細胞はビタミンA貯蔵細胞であると同時に、肝線維化の責任細胞でもある。肝星細胞の生化学的ないし分子生物学的な解析には、純度の高い肝星細胞の単離が必要となる。この目的のため、通常、肝臓をコラーゲン分解酵素で処理して細胞をばらばらにし、密度勾配遠心法により、ビタミンA脂質滴を含む比重の小さい肝星細胞を単離する方法が用いられている。この際、単離した肝星細胞の純度は、ビタミンAの自家蛍光で判断するが、肝臓を構成する細胞には貪食能を持つものがあり、肝星細胞単離の過程で、肝星細胞やその細胞質断片を貪食した細胞も肝星細胞とみなしてしまうおそれが指摘されている。肝臓で貪食能を持つ細胞としては、クッパー細胞、肝類洞内皮細胞、肝星細胞などが報告されている。クッパー細胞は類洞内腔に存在する一方、肝星細胞は類洞周囲腔(ディッセ腔)に存在している。また、類洞の壁を構成する肝類洞内皮細胞には、その薄い細胞質に直径100 nm程度の穴(fenestration)が多数開口していることが知られている。以上の背景のもと、まずはじめに肝臓の貪食細胞を標識することを目的とし、ラット尾静脈から直径20 nmおよび500 nmの蛍光ビーズを注入し、ホルマリン固定後、肝臓を取り出して凍結切片を作成し、蛍光シグナルを観察した。その結果、直径20nmの蛍光ビーズが特異的に集積する部位、直径500nmの蛍光ビーズが特異的に集積する部位、両者が共局在する部位があることを確認した。今後、抗体染色による細胞同定を進め、蛍光ビーズのシグナルとの関連を調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット尾静脈から蛍光ビーズを注入し、肝臓の貪食細胞を標識することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光ビーズを注入されたラット肝臓を取り出して凍結切片を作成し、抗体染色による細胞同定を進め、蛍光ビーズのシグナルとの関連を調べる。
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Causes of Carryover |
ラットの尾静脈より蛍光ビーズを注入して肝臓の貪食細胞を標識する実験系を立ち上げたが、ビーズの蛍光シグナルを保持したまま肝臓のさまざまな細胞を抗体染色するための条件検討が必要となり、次年度使用額が生じることとなった。当該助成金は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、上記の条件検討に使用する計画である。
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