2021 Fiscal Year Research-status Report
The impact of COVID-19 on childhood poverty, physique and life style
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21K11662
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
高屋 淳二 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80247923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロナ禍 / 小児貧困 / 小児肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度から令和元年までの学校検診データーを整理し、小児科学会学術集会と全国学校保健・学校医大会で発表した。発表内容は「Impact of childhood growth and obesity curves in school health examinations」として論文にまとめ、日本小児科学会の欧文雑誌であるPediatrics Internationaに受理された。 大阪府医師会の学校医部会・生活習慣病対策委員会から大阪市教育委員会の協力を得て、大阪市内の公立幼稚園・小・中・高等学校の養護教諭を調査対象として令和3年5月にアンケート調査を実施した。回収率は89%であった。 今回のアンケート結果と以前に施行した平成28年以降の年度ごとに結果を比較検討した。さしあたり、小学校と中学校について検討した。小学生においては男女とも低身長と痩せの検出率は令和元年をピークに、令和2年には減少傾向にあった。しかしながら、肥満は軽度・中等度・高度いずれも平成28年以来、続けて増加傾向にある。新型コロナウイルスの流行が始まった令和元年と令和2年を比較しても、それまでのトレンドと変わらず増加傾向を認めた。一方、中学生では、男子の痩せが令和元年と令和2年で横ばいであったが、男女とも小学生と同様に低身長は令和元年をピークに令和2年には低下傾向にあり、女子の痩せも小学生と同様に令和2年には低下傾向を認めた。 興味あることに、中学生では肥満も令和元年をピークに令和2年には低下傾向にあり、特に女子に著明であった。令和2年4月7日に大阪府を含む7都道府県に緊急事態宣言が出され、ほとんどの学校が休校となり、通常の通学に戻ったのは夏休み明けであった。規則正しく通学し、栄養バランスのとれた給食を食べ、健康な生活基盤を学校に置く子供達の身体発育に、コロナ禍の影響が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪府医師会の学校医部会・生活習慣病対策委員会から大阪市教育委員会の協力を得て、大阪市内の公立幼稚園・小・中・高等学校の養護教諭を調査対象として令和3年5月にアンケート調査を実施した。男女別、幼稚園・小・中・高等学校に分けて、成長曲線・肥満曲線から発育に問題があると指摘された児童生徒の割合を、今回のアンケート結果と以前に施行した平成28年以降の年度ごとに結果を解析検討した。各学校での成長曲線ソフト採用率が年々高まり、平成30年以降はほぼ全ての小・中学校で成長曲線が作成されていた。そのため身体発育異常や問題点を拾い上げ率が高まっていることも否めない。 また今回のアンケート調査から、学校検診によるコロナ禍前後の肥満と痩せ発生頻度の変化を捉えることができた。しかしながら感染防御の観点から、学校に出向いての啓発講義や対面での聞き取りや食事調査は出来なかった。また身体面以外の心への影響、心理的ストレスを評価することが困難であった。心理ストレスを評価できるアンケートの実施を今後予定している。 令和2年度の大阪市立幼稚園、小学校、中学校、高等学校の学校検診からのデーターを現在、統計処理および解析を実施している。 肥満の学童生徒が減少しないのは、運動量が減少したせいか、食事に問題があるのかを明らかにするために、大阪市内の公立校にアンケートを配布し、協力校には出向いて啓発講義を行いたいが、依然、新型コロナの感染が収束しないため、スケジュール調整が見込めない。Webなどを利用した遠隔授業などを検討する必要がある。 身体発育への影響は、平成2年度に引き続き、平成3年度の調査を継続し、第5波、第6波へと引き続くコロナ禍の子供達の心身への影響を調査する。
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Strategy for Future Research Activity |
学童生徒の運動活動状態、栄養状態、ライフスタイルについてアンケート調査を継続し、コロナ禍による社会の経済的影響を明らかにする。 ①運動活動に関する調査:アメリカで行われている健康問診調査を参考に、次の4つのカテゴリーに分けて調査する。1)登校前や帰宅後、週末に行う毎日の運動時間。2)学校内での運動時間。3)通学の運動時間。4)家事手伝い等に要する時間。 ②肥満の学童生徒が減少しないのは、運動量が減少したせいか、食事に問題があるのかを明らかにする。そのために大阪市内の公立校にアンケートを配布し、協力校には出向いて啓発講義を行う。スマホで食事を撮影してもらい、これまで確立されたスケールとAIを用いて食事画像によるカロリー、食事内容(主食、野菜、副食等の区別、食事量、時間等)の解析をおこなう。 ③大阪市の教育委員会の協力のもと、大阪府医師会学校医部会が作成した教育資材を用い、啓発のための講習会の前後で改善度を評価する。パイロットスタディで得られた、やせ児や肥満児が多い地域と少ない地域でモデル校を選定し、研究参加に同意の得られた児童・生徒を対象に、2次アンケートによる意識調査を実施する。アンケート内容は、食事内容と朝食の欠食率、外食の頻度、食事の好み、偏り、早食いの有無を中心にする。食事バランスと身体活動の記録、体格、運動能力を比較検討する。肥満小児の生活パターンの弊害点を明らかにして、生活習慣病の予防を図る。 ④アンケートの集計から、健康問題や体格に変容が見つかった児童生徒が、学校医に把握され、必要であれば家族に連絡後、専門医療機関への受診がどの程度実施されているかを追跡する。養護教員と学校医の連携、またそれが家族にスムーズに伝達できているかの実態調査を3次アンケート調査と聞き取りによって調査する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染が今なお収束しない現況では、感染防御の観点から、学校に出向いての啓発講義や対面での聞き取りや食事調査が予定通り出来なかった。また身体面以外の心への影響、心理的ストレスを評価することが困難であったために、次年度使用額が発生いたしました。 また、成果発表の全国学会が現地開催ではなく、Webでの開催であったため、旅費が不要になりました。感染防御のために各個人に答えていただくアンケートも実施に至りませんでした。アンケートの発送と集計作業に関わる研究補助員を雇用する機会がなく、人件費の執行が予定通りできませんでした。 繰り越しは70,003円ではありますが、令和4年度において有効に活用させていただきます。
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Research Products
(4 results)