2022 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群からみる心身相関-ストレスとバランス機能、腸内細菌叢の関係を探る-
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21K11664
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Research Institution | Sendai Seiyo Gakuin College |
Principal Investigator |
小関 友記 仙台青葉学院短期大学, リハビリテーション学科, 講師(移行) (50898492)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / ストレス / 腸内細菌叢 / 運動経験 / バランス機能 / マインドフルネス / 失感情症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は過敏性腸症候群(Irritable bowl syndrome, 以下IBS)症状を持つ大学生を対象に、その運動機能や関連する心理的因子、実際のバランス能力、腸内細菌叢との関わりを明らかにすることにある。IBSは腹痛や腹部不快感、便通異常を特徴とする機能的疾患である。ストレス関連疾患の最たるものであり、うつや不安などの心理的異常も多く、著しくquality of lifeや社会機能を障害するため、その病態の解析や運動の影響を解明することは社会的意義が大きい。 研究対象者を選定するためのスクリーニングを実施した。またそのスクリーニング・データを解析し、学会発表ならびに論文作成を行った。1475名の大学生に研究説明を行い、703名から回答を得た。そのうち、IBS有症状者は184名であった。IBS有症状者かつ運動経験が少ない者は、IBS無症状者かつ運動経験が豊富な者に比べて、マインドフルネス傾向やストレス知覚、身体活動量が有意に悪化した。またマインドフルネス傾向によって、身体活動量が腹部に与える影響が変化することが判明した。本結果はJournal of Gastroenterology (IF=6.772) に論文受理された。 続けてスクリーニングからIBS群26名とHC群27名を抽出し、実際のバランス能力を測定し、腸内細菌叢検査を実施した。その結果、バランス能力に有意な群間差は見られなかったが、バランス能力が低く失感情症傾向が高い群は、バランス能力が高く失感情症傾向が低い群に対して、有意に腹部症状が悪化していた。また腸内細菌Bacteroides caccaeはIBS群において腹部症状悪化ならびにバランス能力低下に有意に相関がみられていた。本結果は日本心身医学会や日本心療内科学会にて発表を行った。また論文投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した研究スケジュールに基づき、概ね問題なく進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に記載した研究スケジュールを実行していく。今後はこれまで得られた研究データを論文化し、論文投稿を実施する。
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Causes of Carryover |
論文投稿料や英文校正費において支出予定であった金額が減額となったため、その分が次年度使用額となっている。 今後、学会参加や論文投稿や英文校正サービスの使用を予定しており、その費用に次年度使用額を使用する。
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