2022 Fiscal Year Research-status Report
日本人の子供の体格の地域差は光周性反応で起こっているか
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21K11665
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
横家 将納 人間環境大学, 環境科学部, 教授 (30566419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 行人 九州共立大学, スポーツ学部, 教授 (00369787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光周性 / 体格 / 地域差 / 日長時間 / エピジェネティクス / 地理的加重回帰 / GIS / 甲状腺ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
学校保健統計調査によれば、日本の子どもの身長、体重の都道府県別平均値は、北ほど大となる傾向が続いている。研究代表者らはこの傾向の原因が、日長環境の地域差にあるとみて、体格と、日長時間の地域差との地理相関分析を続けている。都道府県ごとの身長、体重の平均値と、実効的日長時間(ある照度の閾値を超えた日長時間)との間には次のような簡単な重回帰式が成り立つ。<身長=b1体重-b2実効的日長時間+b0>この式では身長の平均値は、日長時間とネガティブに相関しているが、一方でこの式が成り立つためには(身長でコントロールされた)体重は日長時間とポジティブに相関しなければならない。つまり、日長時間との関係が身長と体重とで逆である。このことは、一見矛盾しているように思えるが、日長時間の作用が甲状腺ホルモン活性とリンクしている(身長の増加はHyperthyroidism、体重の増加はHypothyroidismで起こる)とすれば説明がつく。そして、このような生理機構は、哺乳類や鳥類の光周性反応に見出すことができる。現在のところ、光周性反応における甲状腺ホルモンの働きは視床下部内に局所的とされ、甲状腺ホルモンが、直接、全身に作用するような代謝経路は見出されていないものの、視床下部の甲状腺ホルモンが全身的な作用を持つホルモン等の活性を高めるトリガーとなることが分かっている。現在、研究代表者らは、新たなデータセットおよび地理的加重回帰などの新たなモデルを加え、様々な誤差要因を考慮した地理相関分析を行っている。2020年の学校保健統計調査を対象とした分析においても、依然として上式は成り立ち、また、身長、体重、日長時間の関係性は日本のどの地域にも一様に定常的にみられることなどがわかってきている。これらの結果は、日本人の子供の体格の地域差が光周性反応として起きているという仮説を支持している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の勤務先が移動となり、環境が大きく変化したことに加え、コロナ禍で様々な制約が加わったことにより移動等が制限されるなどして、研究は進捗していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究代表者らは新たなデータセット、新たなモデルを加え分析を行っているが、これまでを上回るような新たな知見の発見には至っていないことや、研究者の個人的な事情により、成果の発表に遅れを生じている。 計画達成までに、時間的猶予の申請を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究代表者の勤務先が移動となり、研究環境が大きく変化したことに加え、コロナ禍で様々な制約が加わったことにより移動等が制限され、研究はあまり進捗していない。 時間的猶予の申請を行いたいと考えている。
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