2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪毒性を介した心房細動リスク亢進に対するSGLT2阻害薬による改善機序の解明
Project/Area Number |
21K11675
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
澤野 達哉 鳥取大学, 医学部, 助教 (10813967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三明 淳一朗 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40372677)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心房細動 / 肥満 / SGLT2阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動は心不全や脳梗塞のリスク因子であり,予後が不良であるため治療が必要となる.これまで薬物療法や非薬物療法によって心房細動の管理がなされてきたが,心房細動の発症機序が複雑であることや進行性疾患であるため,これまでの治療の効果が限定的であった.代謝性疾患の一つである肥満は心房細動のリスク因子であり,治療開始後の再発も多いことが知られている.しかしながら,肥満がどのように心房細動発症に関係するかについて十分に解明されておらず,肥満における心房細動に対する有効な予防薬もない.いくつかの臨床試験において糖尿病治療薬であるナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬がAF発症リスクを軽減することが報告された.しかしながら,SGLT2阻害薬が心房細動発症を抑制する詳細な機序については不明なままである.本研究では,肥満における心房細動リスク亢進に対するSGLT2阻害薬の抑制効果およびその抑制機序の解明による新規予防標的の探索を目的としている. 我々は高脂肪食摂取によって心房細動の誘発性が亢進したマウスモデルを確立し,SGLT2阻害薬投与によって高脂肪食摂取による心房細動誘発性の亢進を抑制できることを確認した.本研究で用いたマウスモデルは心機能および血圧の異常などは認めておらず,心房の線維化も進んでいないことを確認した.まず,心房組織を用いてカルシウムハンドリング制御に関連したタンパク質の発現変化を確認した.高脂肪食摂取によって心房細動の発症機序に関連した心房組織におけるタンパク質発現の変化を認めていることから,さらに詳細に心房細動発症に関連する遺伝子発現およびタンパク質発現の解析を進めている状況である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪摂取による心房細動の誘発性の亢進を確認およびSGLT2阻害薬による心房細動の抑制効果を確認できた.さらに心房細動発症機序に関連したタンパク質発現の変化を認めていることを確認し,より詳細な機序解明に着手できているため,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
SGLT2阻害薬による肥満における心房細動の抑制効果および抑制機序を明らかにするため,さらに心房組織における遺伝子およびタンパク質の発現解析を進める予定である.より詳細に検証するために実験動物から得た心房組織の解析に加え,培養細胞を用いた実験なども合わせて進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
申請者らの研究室で所有していたタンパク質発現解析に用いる抗体などの一部の試薬や研究施設に備わっている研究機器の使用で実験が可能であったことで次年度使用額が生じた.この使用額については,次年度行う予定である解析に必要な試薬の購入および検査費用に用いる計画である.
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