2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K11676
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 俊之 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (90706988)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリフェノール / 生体利用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物性食品成分の多くは植物中では配糖体として存在しており、摂取した配糖体は小腸や大腸で代謝変換を受け生体内では代謝物として存在している。そのため、それらの有効性は抱合代謝物や分解代謝物の寄与が考えられるが、多くの抱合/分解代謝物の生理活性は不明である。加えて、食品成分の生体利用性は、食品の単独摂取と日常的な食生活の形態である複数同時摂取で異なる。しかしながら、複数同時摂取でのそれらの代謝変化を評価した報告はない。そこで本申請研究では、植物性食品成分の複数同時摂取がそれらの生体利用性に及ぼす影響を検討するとともに、食品成分の代謝変換物の機能性を評価する。これらの研究を通して、機能性食品成分の実質的な有効性を評価し、健康増進・維持への貢献を目指す。 本年度は、(1)ケルセチンとビタミンEまたは食物繊維の同時摂取がケルセチンの吸収に及ぼす影響を評価した。その結果、ケルセチンの吸収量は食物繊維により有意に低下した一方で、ビタミンEにより有意に増加した。(2)8種類のケルセチン抱合代謝物を用いて抗酸化酵素Heme oxygenase-1(HO-1)の遺伝子発現を評価した。その結果、いくつの抱合代謝物は、アグリコンと比較すると弱いものの、HO-1の遺伝子発現を有意に上昇させた。(3)ケルセチン単独、またはビタミンEや食物繊維の同時摂取後のマウス血漿を用いてHO-1の遺伝子発現を評価した。その結果、HO-1遺伝子はケルセチン単独摂取後の血漿により上昇傾向が、ケルセチンとビタミンEの同時摂取後の血漿により有意に上昇した。これらの結果から、ケルセチンは摂取後すみやかに抱合代謝されるが、その抱合代謝物が抗酸化酵素遺伝子を誘導することで生体内で抗酸化作用を発揮していることが示唆された。
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