2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11689
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
加藤 正樹 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60444808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末武 勲 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (80304054)
田辺 賢一 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (60585727)
小野 美咲 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (10441726)
安永 明日香 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (60846319)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 細胞老化 / フィトケミカル / 細胞死 / 抗線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
HepG2細胞を用いた、定量的な細胞老化の系の確立を行った。培養液に過酸化水素(H2O2)250μMあるいはドキソルビシン(DOX)0.5μM を加えて2時間インキュベートした後に、各種フィトケミカルを添加した培地に交換し、6日目に細胞を回収して細胞溶解液を作成してSA β-GALアッセイを行った。スルフォラファン、クルクミン、ケルセチン、フィセチン、ゲニステインについて、非刺激下および、H2O2あるいはDOX刺激下での細胞老化に与える影響を検討した。20μMのスルフォラファンは、無刺激下の細胞老化を約20%抑制し、H2O2刺激下では約28%抑制、DOX刺激下では約15%抑制したが、100μMでは強い細胞障害性を示した。50μMのクルクミンは、無刺激下の細胞老化を約51%抑制し、DOX刺激では約61%抑制したが、H2O2刺激では細胞老化を約75%促進する活性を示した。ケルセチン添加群では、非刺激下で約48%の細胞老化を抑制したが、H2O2刺激下では明らかな抑制効果は認められなかった。フィセチン添加群では、非刺激下で細胞老化を約64%抑制し、またDOX刺激下では約50%抑制し、さらにH2O2刺激下では約44%抑制効果が認められた。ゲニステイン添加群では、DOX刺激下で約24%の抑制効果が認められた。 また、HepG2細胞で脂質貯留低減効果が示唆された、スルフォラファン(0.015%、S群)およびクルクミン(0.3%、C群)をNASHモデルマウスに与えその効果を評価した。21週目に肝臓を摘出しmRNA発現を評価したところ、S群ではPPARαやCPT1など脂質酸化系遺伝子発現の増強、C群ではFASやACC1など脂質合成系遺伝子発現の低下が認められ、NASHの進展抑制に効果がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞老化の出現が、NASH肝における炎症・線維化進展の強力な誘因であることを証明するために、老化細胞と炎症細胞および活性化肝星細胞の肝小葉内の空間的・時間的分布の解析が有用である。このため、老化細胞の検出はp16、p19、p21、Histon H2AX抗体、炎症細胞はF4/80抗体、活性化星細胞の検出はα平滑筋抗体を用いて、マウス肝切片の免疫組織学的な検出・解析を試みた。炎症細胞および活性化星細胞の検出は可能であったが、老化細胞の検出については安定した結果が得られておらず、炎症細胞や活性化星細胞の局在との関連性を解析するに至っていない。今後、抗原賦活化や抗体濃度、ブロッキング条件など検討して、免疫染色の改善を図っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
定量的SA β-GAL測定による、HepG2細胞を用いた細胞老化アッセイを確立することができたため、各種フィトケミカルの評価を開始することが可能となっている。それぞれのフィトケミカルは刺激下(H2O2、DOX)、非刺激下で独特の作用を示し、かえって細胞老化を増強する場合があるもの(クルクミン)、細胞障害作用が強いもの(スルフォラファン)等を認め、全ての条件下で細胞老化を抑制できたのはフィセチンのみであった。このことから、既に本学で確立できているNASHマウスモデルにフィセチン(飼料中0.02%)投与を開始しており、今後肝臓内の脂質貯留レベルや、細胞老化・炎症・線維化の進展について、代謝・炎症・線維化に関わる遺伝子発現ならびに病理学的評価を行っていく予定である。 また、細胞老化マーカー(p16, p19, p21)、マクロファージ浸潤(F4/80)、肝星細胞活性化(αSMアクチン)の免疫染色は継続して行い、(1)NASHモデルにおける経時的変化と空間的変化の評価、(2)フィトケミカルによる介入効果(抗細胞老化作用・NASH進展抑制作用)についての解析を行っていく。 最終的には、HepG2細胞を用いたin vitroでの細胞老化抑制効果と、NASHモデルマウスを用いたin vivoでのNASH抑制効果を包括的に検討し、フィトケミカルによる細胞老化の制御を介したNASH進展抑制方法の確立を目指していく。
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Causes of Carryover |
免疫組織染色で使用する複数の抗体の購入を計画していたが、既存の抗体による条件設定が遅延したため、今後導入すべき抗体の同定にいたらなかった。今後、早急に条件設定を進め、適切な抗体を購入の上免疫組織染色による研究を進めたいと考えている。
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Remarks |
小野美咲:第10回日本栄養改善学会九州・沖縄支部学術総会:優秀発表賞 受賞 小野美咲:第26回日本病態栄養学会年次集会:座長賞 受賞
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Research Products
(3 results)