2021 Fiscal Year Research-status Report
Phase angle as a new indicator of muscle quality and Its application for sarcopenia evaluation
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21K11691
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
日下部 徹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究室長 (60452356)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サルコペニア / 筋質 / Phase Angle / 肥満症 / 2型糖尿病 / サルコペニア肥満 / 骨粗鬆症 / オステオサルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた日本において、サルコペニアの早期発見と治療介入が必要と考えられている。サルコペニアの診断には骨格筋の量だけでなく、骨格筋の質(以下、筋質)を評価することが重要であるが、現在のところ、筋質の評価方法は確立されていない。一方、Phase Angleは生体電気インピーダンス法によって得られる生体の電気抵抗値から算出される値であり、導電組織である筋肉中の細胞機能の健康状態を反映すると考えられており、簡便かつ再現性のある指標である。本研究では、高齢健常者と若年健常者から得られたPhase Angleのデータをもとに、Phase Angleの基準値とその規定因子を明らかにする。さらに、Phase Angleを用いたサルコペニアの診断が可能かどうかを検討する。また、筋肉内への脂肪浸潤や線維化が病態に関わる肥満症や糖尿病、骨粗鬆症などの生活習慣病におけるPhase Angleのデータと各種パラメータとの関連を解析することで、Phase Angleを新規の筋質評価指標として確立させ、一次性のみならず、二次性サルコペニアを含めたサルコペニア診療への応用につなげることを目的とした。 令和3年度は、健常者コホート(①高齢健常者、②若年健常者)を用いて、Phase Angleの基準値を算出し、健常者においてPhase Angleが筋質の評価指標として有用であることを示した。さらにPhase Angle単独でサルコペニアを診断できる可能性とそのカットオフ値を示すことができた。また、肥満患者を対象として、腹囲と筋質で定義したサルコペニア肥満は、年齢、性別調整下においても有意に脳心血管病リスク重積と関連することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は論文報告を2報行っており、順調に進展している。 1報目は、健康診断を受診した大学生および高齢者を対象として、Phase Angleの基準値を算出し、Phase Angleを規定する因子を、単変量および多変量モデルを用いて検討した。また、サルコペニアの有無によるPhAを比較検討し、サルコペニア診断への有用性を検討した。男女いずれにおいてもPhase Angleは年齢と負の相関、筋量および筋質と正の相関が認められた。多変量解析によりPhase Angleは年齢、筋量、筋質とそれぞれ有意に関連した。Phase Angleは若年者、高齢者ともに対照群と比較してサルコペニア群で有意に低値を示した。さらに、Phase Angle単独でサルコペニアを診断できる可能性とそのカットオフ値を示した。(J Cachexia Sarcopenia Muscle 2022)。 2報目は、肥満患者を対象として、肥満評価指標としてBMI、体脂肪率、腹囲を、サルコペニア評価指標として四肢骨格筋指数、握力、筋質(握力/上肢筋量)のいずれかを用いて、脳心血管病リスク重積を予測するサルコペニア肥満の診断指標を検討した。肥満評価指標として「腹囲」が、サルコペニア評価指標として「筋質」が有意に脳心血管病リスクの重積と関連していた。さらに、腹囲と筋質で定義したサルコペニア肥満は、年齢、性別調整下においても有意に脳心血管病リスク重積と関連することを示した(Endocrine 2022)。
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Strategy for Future Research Activity |
Phase Angleを新規の筋質評価指標として確立させ、サルコペニア診療への応用につなげていくために、令和4年度は、5つのコホートについて以下を予定しており、当初の研究計画に変更はない。 健常者コホート(①高齢健常者、②若年健常者)では、既に症例登録およびデータ収集を完了しており、Phase Angleの基準値を算出し、健常者においてPhase Angleが筋質の評価指標として有用である可能性を示すことができた。令和4年度は、それぞれのコホートについて、Phase Angleを規定する因子を詳細に解析する。また両コホートを比較することで、加齢とともに変化するパラメータについて検討を進める。 肥満症・2型糖尿病コホート(③肥満症患者、④2型糖尿病患者)および骨粗鬆症コホート(④骨粗鬆症患者)では、引き続き症例登録およびデータ収集をすすめる。次に1)で得られたPhase Angle基準値と比較することで、各疾患におけるPhase Angleの臨床的意義、特に筋質との関連を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染の影響を受けて、成果発表のための学会出張旅費を使用しなかったが、今後学術論文の作成に向けて使用していく予定である。
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Research Products
(5 results)