2021 Fiscal Year Research-status Report
性差を考慮した糖尿病合併症の遺伝的、環境的因子の解明: 大規模ゲノムコホート研究
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21K11700
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大隈 俊明 九州大学, 大学病院, 助教 (20709258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 正典 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00203381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 性差 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、糖尿病合併症の発症や進展には男女間の性差があることが明らかとなっており、性差医療、性差医学の推進の必要性が指摘されている。 合併症の環境因子、遺伝因子には地域・人種差があることが知られているが、これまでのエビデンスは欧米で行われた研究に基づくものが大半で、我が国においてこれらを明らかにした研究は稀である。 そこで、本研究では5000人を超える日本人糖尿病患者の大規模ゲノムコホート研究において、糖尿病合併症やその危険因子における性差を検討することを目的とする。 福岡県糖尿病患者データベース研究(Fukuoka Diabetes Registry: FDR)は、福岡県内の糖尿病専門施設(合計16施設)に通院中の糖尿病患者5131人について、食事、運動、飲酒、喫煙、睡眠、排便習慣やうつ症状、処方薬剤、身体計測値を含む臨床情報、ならびに血液、尿、DNAを収集し、平成23年度までに登録を完了、コホート集団とし、登録以後、継続的に対象者の追跡調査を行っている。 令和3年度も、血糖コントロールなどの治療状況、処方薬剤や合併症発症(脳心血管障害、腎機能、死亡など)について追跡調査を行った。 また、登録時のデータを用いた横断的解析として、近年、心血管病との関連性が注目されている排便習慣に関して検討を行い、便秘(排便回数<3回/週かつ、または下剤使用ありと定義)の合併率は男性に比べ女性で有意に高いことを示した。また、排便習慣と合併症危険因子との関連については、排便回数が少ない程、慢性腎臓病(CKD)合併率が高く、下剤の使用もCKDに有意に関連することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コホートの追跡調査は予定通り実施できている。登録時データを用いた横断的解析、追跡調査データを用いた前向き解析とも順次行っており、本課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までと同様にコホート集団の追跡を継続し、遺伝的因子、環境的因子、追跡期間中に発症した合併症の情報を統合したデータベースを構築する。構築したデータベースをもとに、性差を考慮して糖尿病合併症の遺伝的因子、環境的因子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度の研究成果を学会で発表する予定であったが、新型コロナ感染症の影響でオンライン発表となったため、次年度の発表経費に充てることとしたい。
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Research Products
(4 results)