2023 Fiscal Year Annual Research Report
食塩過剰摂取による腸粘膜Naイオン輸送異常は食塩感受性高血圧発症に関与するか?
Project/Area Number |
21K11716
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
晝間 恵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 講師 (30572870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 千枝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 助教 (90532515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸粘膜Naイオン輸送 / 食塩感受性高血圧 / ナトリウム・カリウムポンプ / 食塩過剰摂取 / 細胞間隙結合タンパク質 / c-Src リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
食塩過剰摂取による高血圧発症には、過剰なNaイオンと水を尿中に排泄する腎臓の機能不全が関与することは周知である。一方、体内循環水およびNaイオンの吸収の場である腸の高血圧発症への関与が注目されてきたが、まだ詳細は分かっていない。申請者らは、食塩感受性高血圧ラットでは食塩過剰摂取時に腸粘膜におけるNaイオン輸送が正常に機能しないことを報告した。本研究は、食塩過剰刺激における腸の対処異常の機構を解明し、高血圧発症との関連を探る目的で行い、以下のことが分かった。 ①食塩過剰摂取により、SDラット(コントロール)では、腸粘膜細胞膜上Na+/K+-ATPase(NKA)ポンプの発現量が減少するが、Dahl食塩感受性(DSS)高血圧ラットでは変化しないことが分かった。さらに、SDラットではNKAポンプのATPase活性が低下するが、DSS高血圧ラットでは変化は認められなかった。 ②食塩過剰摂取によるNKAポンプの腸粘膜細胞における局在変化を見ると、SDラットでは細胞膜上NKAポンプの局在が減少し、細胞質での局在の増加が認められたが、DSS高血圧ラットでは局在の変化は見とれられなかった。 ③食塩過剰摂取により腸粘膜上NKAポンプの発現が減少するSDラットではc-Srcリン酸化が活性化していること、一方、DSS高血圧ラットでは、腸粘膜上NKAポンプ発現に変化がなく、また、c-Srcリン酸化の活性化は起こらないことが分かった。 ④DSS高血圧ラットでは、腸粘膜細胞間隙の透過性が亢進していることが分かった。さらに、細胞間隙結合タンパク質であるOccludinとClaudin-1の発現が減少していることが分かった。 以上より、NKAポンプを介した腸粘膜Naイオン輸送異常が食塩感受性高血圧発症に関与していることが示唆された。
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