2023 Fiscal Year Annual Research Report
味蕾におけるカドヘリンファミリーの局在と機能および味覚障害との関連
Project/Area Number |
21K11731
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
濱田 俊 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (60282349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 李緒 福岡女子大学, 国際文理学部, 助手 (90853557)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 味蕾 / カドヘリン / 細胞接着分子 / シナプス形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
味受容細胞にはⅡ型とⅢ型があり、それぞれ異なる味覚を受容する。味受容細胞は常に新生し入れ替わる一方、神経細胞は入れ替わらないため、味受容細胞は常に自分に適合した味覚神経を選択しシナプスの形成を行うが、その分子機構はよくわかっていない。今年度は、Ⅱ型細胞にのみ発現するN-カドヘリンが、Ⅱ型細胞のシナプス形成に関与する可能性について遺伝子改変マウスを用いて検討した。薬物(タモキシフェン)依存性に味蕾細胞でN-カドヘリン遺伝子を破壊できる遺伝子改変マウスを交配により作成した。このマウスは、薬物投与によりDNA組換え酵素(Cre/ERT2)が働くと、味蕾細胞でN-カドヘリン遺伝子の第1エクソンが除去され不活化されるとともに、蛍光たんぱく質(tdTomato)が発現する。薬物投与後の味蕾に対し、Ⅱ型細胞マーカーとⅡ型細胞シナプスマーカーであるCALHM1を免疫染色により検出し、tdTomato陽性細胞と陰性細胞とで細胞1プロファイルあたりのCALHM1陽性点状構造の数を比較した。その結果、平均値では差がみられなかったものの、度数分布のパターンには有意な違いが認められ、N-カドヘリンがⅡ型細胞シナプスの形成に何らかの働きをしていることが示唆された。 本研究では味蕾に発現することが報告されているクラスター型プロトカドヘリン(Pcdh)の1つ、Pcdhβファミリーの味蕾における機能についても、全Pcdhβ欠損マウスを用いて検討した。味蕾細胞型マーカー、神経線維マーカー、シナプスマーカーを用いて免疫染色を行ったが、野生型の味蕾と比較し大きな差異は認められなかった。 また、味覚障害を引き起こすことが知られている亜鉛欠乏マウスを作成し、N-カドヘリン、T-カドヘリンの局在に変化が生じるかどうか検討したが、特に変化はみられなかった。
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