2021 Fiscal Year Research-status Report
核-ミトコンドリア翻訳バランスによる老化・寿命の調節とミトコンドリアヌクレオイド
Project/Area Number |
21K11741
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Research Institution | Junshin Gakuen University |
Principal Investigator |
福應 温 純真学園大学, 検査科学科, 教授 (80363365)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 老化 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学問的な問いは、「核DNAの翻訳機構とミトコンドリアDNA翻訳機構とのバランスが破綻する事で生じる老化や寿命の短縮や延伸といった変化にミトコンドリアDNAのヌクレオイド構造が関与しているのか」である。以下に研究計画の1年目である令和3年度に研究実施計画の以下の項目について実施した内容を示す。 1. キイロショウジョウバエ由来のS2細胞を用いた核の翻訳関連遺伝子(対象遺伝子)のノックダウンで老化関連遺伝子の発現が変動しているか:スクリーニング陽性遺伝子のうち、本研究の対象となる遺伝子の多くはRNAiにより発現を抑制すると細胞死を示すものが多い。そこで、細胞死が起こる直前のタイミングで遺伝子の発現を転写レベルで測定するための条件を指摘化した。現在までのところタンパク質レベルでの解析までには至っていない。 2. 線虫を用いた対象遺伝子のRNAiによる発現抑制の寿命に対する影響:コントロール実験として線虫の野生株を用いて加齢に伴って既知の老化関連遺伝子の発現がどのように変動していくか、また、対象遺伝子の発現が加齢に伴って変動するのかを検証したが、タンパクレベルの解析が遅れており、結論を示すには至っていない。 3. S2細胞にて各対象遺伝子をゲノム編集の技術を用いてノックアウトし、老化関連遺伝子の変動とミトコンドリア機能を測定し、ミトコンドリアDNAヌクレオイドの観察を行う:対象遺伝子のノックアウト細胞は構築できていない。研究期間内で完了を目指すため、本研究機関ではRNAiによる発現抑制細胞を用いたレスキュー実験を実施することに変更することも検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属研究機関では対面授業を厳しい管理のもとで行なっており、新型コロナウイルス感染症対策に関する業務拡大が長期化している。そのため、当初予定していたエフォートが実現できなかった。また、学会発表等も控えていたため、旅費の使用もなかった。その結果、初年度は研究実施概要の各項目に関する各解析についてそれぞれ測定条件の指摘化を中心に行っており、データが十分に取得できていない。特にタンパク質レベルの測定がほとんどできていないなど、やや遅れている。前述の通り、初年度は測定条件の指摘化を中心に研究をおこなったため、ほとんど支出がなかったが、令和4年度はタンパクレベルの解析やミトコンドリア機能の解析も開始予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の実績から、研究実施計画書の項目3の対象遺伝子のノックアウト細胞の構築に時間的余裕がないと考えている。そのため、ゲノム編集をつかったノックアウトではなく、RNAiによるノックダウン細胞を用いたレスキュー実験を行うように計画の修正を検討している。線虫におけるゲノム編集技術の獲得の時間を考えると、研究期間内での研究の完了をめざすためには致し方ないかと考えている。また、令和4年度からは新型コロナウイルス感染症対策も緩和されつつあり、予定通りのエフォートで研究業務を遂行できる。また、九州大学で行う予定のミトコンドリア機能測定も本年度から進めていくこととしている。
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Causes of Carryover |
令和3年度は研究実施概要の各項目に関する各解析についてそれぞれ測定条件の検討を中心に行っており、ほとんど支出がなかった。しかしながら、令和4年度はタンパクレベルの解析やミトコンドリア機能の解析も開始予定であるため、当初の配分よりも支出が大きくなると予想できる。また、令和4年度は学会発表も積極的におこなっていく予定にしているため、旅費も計画よりも多く支出する予定である。
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