2021 Fiscal Year Research-status Report
加齢がもたらす生体内酸化・糖化ストレスを食により低減し、慢性炎症を予防する
Project/Area Number |
21K11742
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石川 祐子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主席研究員 (40353940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 俊郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, グループ長 (10353971)
若木 学 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主任研究員 (50710878)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加齢 / 生体内酸化・糖化ストレス / 免疫老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の要介護要因となる免疫系の機能低下(免疫老化)やフレイル(Frailty)の発症には、「加齢に由来する生理的な老化」だけでなく、自然免疫系の過剰応答とされる「慢性炎症」により軽度の全身性炎症が長期間持続する状態に由来する生体内酸化・糖化ストレスの双方が関係すると考えられており、動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病の原因ともされているが、近年、自己由来成分であるDAMPs(damage-associated molecular pattern molecules)が外来異物として自然免疫系に誤認識されることにより慢性炎症の誘導が起こると考えられるようになってきた。 そこで、本研究では実験動物(マウス)を用いて、食餌性の酸化・糖化ストレスを負荷した際の、生体内酸化・糖化ストレスマーカーやDAMPsの分子種並びにその量と自然免疫系の応答性を評価し、慢性炎症の発生やその程度を明らかにすることで、表現型としての免疫機能の低下やフレイル状態との関係を見いだし、主要栄養素を中心とした栄養バランスの調整を通じて生体内酸化・糖化ストレスの低減をはかり、自然免疫系の過剰応答である慢性炎症の抑制による免疫老化やフレイル発症の予防を目指す。 本年度は免疫老化や筋力低下等の評価を行うための手法の開発として、13週齢前後ならびに60週齢以上の2群のマウス(DO11.10)を用い、四肢/前肢の握力測定、回転ケージを用いた自発運動量測定、血液中の酸化・糖化ストレスマーカーの評価、脾臓細胞を用いた全身性免疫機能の評価を行った結果、老化により自発運動量の低下、炎症性サイトカイン量の増加等が認められるなど、これらの手法が利用可能であることを明らかにし、現在糖化・酸化ストレスマーカー量との関係を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大による出勤制限のため、食餌性酸化・糖化ストレスの負荷を目的とした長期の餌投与試験を計画することが困難であったことから、食餌性のストレス負荷試験はR4年度に延期することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は、実験動物(DO11.10マウス)に高糖食・高脂肪食等を投与することにより食餌性の酸化・糖化ストレスを負荷し、生体内酸化・糖化ストレスマーカーの量を評価する。同時に、R3年度に確認した免疫老化や筋力低下等の評価手法を用いて、酸化・糖化ストレスの負荷が全身免疫系、運動系の老化に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大による出勤制限のため、今年度に開始予定であった長期の投与試験を次年度に繰り越すこととしたことから、給餌飼料の購入経費等が次年度使用額となった。
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