2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K11743
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脊戸 和寿 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (20584056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 篤樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (20802622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 定数段数回路 / 多数決関数 / 下界証明 / 充足可能性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、MOD6素子(素子に入力される1の数が6の倍数のときに0を出力する素子)とAND素子、OR素子、NOT素子を用いた定数段数回路において多数決関数の非自明な下界を得ることである。 そのため、まず、AND素子、OR素子、NOT素子のみを使用した段数が定数の論理回路における多数決関数の素子数の下界、および分岐プログラムにおける多数決関数のサイズの下界の既存研究と証明技法の調査と整理を行った。その結果、2000年前後と状況はあまり変わっておらず、未だに上界に一致する下界が得られていないことを確認し、現在の知見と技法だけでは証明が難しい点を理解することができた。そのため、3段回路および幅2分岐プログラムに限定し、上界と一致する下界証明とそれを達成する手法の構築を試みたが、達成することはできなかった。 次に、MOD2素子(素子に入力される1の数が奇数のときに1を出力する素子)とAND素子、OR素子、NOT素子を用いた定数段数回路において近年証明された多数決関数の下界と上界の証明技法の理解と探究を行った。MOD2素子が多数決関数を計算するために利用できることは理解したが、現状の技法だけでは上界をさらに下げることは困難であることを理解した。この技法の拡張や多数決関数とパリティ関数(MOD2関数)との関係性のさらなる探求が今後の課題であると考えられる。 これらの研究の過程で、線形サイズの幅2分岐プログラムの充足可能性問題に対して、全探索アルゴリズムよりも指数的に高速なアルゴリズムを設計することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の推進に必要な既存研究の調査や問題点の抽出は終わり、いくつかの下界証明技法を検討できたことと、その過程で幅2分岐プログラムの充足可能性判定アルゴリズムが設計できたことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度に得られた知見をもとに、多数決関数の新たな下界証明に向けて研究を進めていく。その過程で、特定の回路における充足可能性問題のアルゴリズムや多数決関数を計算する回路の具体的な構成法についての結果も創出できるように研究を実施する。 2021年度はこれまでと同様、コロナ禍による制限が強かったため、分担者と対面で議論できる機会が少なかった。2022年度は対面で議論できる回数をできるだけ増やすことと、集中的に議論できる期間を設けていくことを計画する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた学会参加や研究打合せによる出張がコロナによるまん延防止等重点措置により実施できなかったことが大きな理由である。繰り越した分を利用して、2022年度は感染状況を見ながら早い段階から研究打合せによる出張を行うことで、研究の推進にもつなげたい。
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