2021 Fiscal Year Research-status Report
Machine Learning using Quantum-Classical Hybrid Algorithms
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21K11764
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
河野 泰人 中部大学, 工学部, 教授 (40396180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 正直 中部大学, AI数理データサイエンスセンター, 特任教授 (40126313)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子コンピュータ / 量子アニーリングマシン / 量子アルゴリズム / 機械学習 / 深層ニューラルネット / LWE / 次世代公開鍵暗号 / ポスト量子暗号 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械学習から派生した問題として知られるLWE(Learning With Errors)を解く量子アルゴリズムの研究を行った。LWEは組み合わせ最適化問題の一種で、次世代公開鍵暗号候補にも利用されている。LWE問題を解く量子アルゴリズムの研究は、量子超越性の実証、量子コンピュータの機械学習への応用、次世代公開鍵暗号の鍵長を決める上で重要である。しかし、LWE問題を量子コンピュータに実装して解かせる場合、必要となる量子ビット数が多くなりすぎて、これまでは開発中の量子コンピュータ上で問題のエンコードさえできなかった。 初年度は、LWE問題を量子アニーリング上に効率的に実装する古典アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを使ってLWEのベンチマーク問題を量子アニーリング用に変換した結果、2016年まで未解決だったベンチマーク問題を解くために必要な最低量子ビット数は数万程度であることが示された。これは、現時点で最大の量子アニーリングマシンの保有する量子ビット数の範囲内である。この実験結果から、近い将来、LWEのベンチマーク問題群は量子コンピュータ上に実装して解けるようになると考えられる。 本研究成果は、電子情報通信学会量子情報技術研究会(QIT44)で発表された。また、研究成果をまとめた論文は、海外ジャーナルに投稿した(査読中)。さらに、この研究成果を発展させ、ゲート型量子コンピュータを使ってLWE問題を解く量子古典アルゴリズムを開発した。また、開発した古典アルゴリズムをプログラミングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、量子コンピュータによる深層ニューラルネットワークの機械学習に関連する問題を用いた量子超越性の実証を目的としている。 具体的には、(1)LWE Challenge(ベンチマーク問題)の未解決問題をゲート型量子コンピュータまたは量子アニーリングマシンを用いて解く、または(2)Kaggleの未解決問題をゲート型量子コンピュータまたは量子アニーリングマシンを用いて解く、のいずれかの達成が目標である。 初年度において、(1)LWE問題の量子アニーリング実装に適した問題(QUBOと呼ばれる)への変換アルゴリズムの開発(2)この変換アルゴリズムの古典コンピュータ上での実装(3)LWE Challengeを用いた変換実験(4)LWE問題の量子回路への変換アルゴリズムの開発(5)この変換アルゴリズムの古典コンピュータ上での実装、の5点に関する研究を実施した。 また、(6)研究成果の研究会での発表(7)海外ジャーナルへの投稿を行った。初年度の研究としては十分な成果であり、2年目以降の目標達成への道筋をつけたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目では、(1)開発した量子古典アルゴリズムの外部発表(2)実装した変換アルゴリズムを用いたLWE Challengeの変換実験(3)量子コンピュータ実機を用いた小規模なLWE問題の解読実験、の3つの課題に取り組む予定である。 また、発展的な課題として、(4)開発した量子古典アルゴリズムを用いた機械学習実験も検討する。 実験を行うにあたり、科研費予算を用いて現在実験に使用しているDell PowerEdge R540のメモリを増強する。具体的には、256GBから1.5TBへの増設(研究予算の許す範囲で)を予定している。また、量子コンピュータの実機は現時点で使用が難しいため、最初は量子コンピュータのシミュレータを利用する予定である。 並行して、今年度から研究分担を担当する科研費C「量子インストルメント理論の新展開」(課題番号22567323)において、量子測定理論を応用した心理物理学の研究でコンピュータを用いた実験を行う。本科研費研究課題で最終目標とする量子を用いた人工知能システム構築に関連する研究であり、将来的な研究成果の融合を目指す。
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Causes of Carryover |
現在、実験用コンピュータ(DELL PowerEdge R540)には256GBしかメモリが搭載されておらず、十分な実験が行えない。これを1.5GBまで増設したいが、初年度の予算では足りなかった。そこで、研究計画書において論文作成兼実験用として予算申請していたコンピュータの支出をとりやめ、現在使用している実験用コンピュータのメモリを次年度以降に増設することとした。このため、初年度使用予定だった予算のうち100万円近くを繰り越した。 見積もりの結果、純正の1.5GBメモリは300万円以上することが分かっている。サードパーティーのメモリで現在見積もり依頼中である。増設費用を昨年度からの繰り越し分と今年度の予算の合算の範囲内に抑え、今年度中にメモリを増設する予定である。
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Research Products
(1 results)