2023 Fiscal Year Research-status Report
Explicit dual formulations of continuous optimization problems and their applications
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21K11769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 信雄 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30293898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 雄也 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00837354)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 双対問題 / 均衡問題 / 数理最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,連続最適化の陽にかける双対問題を利用して,実用化の障壁となる「モデル化の壁」と「アルゴリズムの実装の壁」を解決することを考える.本年度の目的は,双対性を利用して,応用問題を効率よく解く手法を開発することである.さらに,昨年度からの課題となっているゲージ双対性を利用した最適化モデル化手法を研究することとしていた.それらの目的に対して以下の成果を得た. ・2プレイヤーの展開ゲームにおける均衡解を求める問題を最適化問題およびその双対問題として構成し,その双対性ギャップを減少させる平滑化法を提案した.特に,その手法にあらわれるBregman関数の構成方法の工夫を考え,既存の手法と比べて高速に均衡解が求められることを数値実験によって確かめた. ・実行不可能となりうる最適化問題において,できる限り制約条件をみたしつつ,目的関数を最小化する解を求めることは実用上重要である.特に優先的にみたすべき制約条件がある場合は,それを考慮した最適化ができることが望ましい.そのような目的に向けて,まず優先度に応じたペナルティパラメータを調整するペナルティ法を考案し,双対性を利用して,その収束性を解明した. ・多クラス分類のためのサポートベクターマシンの一般化したモデルを提案し,双対性を利用した効率のよい解法を与えた.従来のサポートベクターマシンでは一次式で分類を行うが,これを2次式で分類することを考え,2次制約つき2次最適化問題として定式化を行った.しなしながら,その目的関数,制約条件ともに非凸になるため,そのモデルの大域的最適解を求めることは容易ではない.そこで,制約条件を一つの代理制約にまとめるモデルを提案した.そのモデルでは制約条件は凸2次の不等式制約として表すことができ,双対性を利用することによって,陽に解を与えることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続最適化の技術を社会実装するためにはいくつかの壁が存在する.本研究では,連続最適化の双対性を利用して,実用化の障壁となる「モデル化の壁」と「アルゴリズムの実装の壁」を解決することを考える. 本年度は,以下に示すように,いくつかの応用問題に対して双対性を利用した実用的なアルゴリズムを開発した.ポーカーなどにあらわれる大規模な展開ゲームに対して双対性を利用した平滑化法を考え,それを高速化する工夫を与えた.さらに,機械学習における代表的な課題である他クラス分類において,一般化されたサポートベクターマシンを考え,代理制約と双対理論を利用して高速に学習する方法を与えた.さらに,優先度が異なる制約条件をもつ問題に対して,拡張されたペナルティ法と拡張ラグランジュ法を考え,それらの収束性を用いて解明した.2021年度に立案した2023度の研究計画・目標としては,十分な成果をあげるこができた. 一方,前前年度からの課題になっているゲージ双対問題に必要となる極関数の調査が十分にできていない.また,今年度の研究対象としていたDC最適化問題の双対性については,それが本質的には主問題と変わらないと判断にいたり,この双対性についての研究は取りやめることとした.次年度は,極関数の調査を進めると同時に,その応用としてのロバスト最適化を考える予定である. これらのことから,本研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的としている「モデル化の壁」と「アルゴリズムの実装の壁」の二つの壁の解消について,「アルゴリズムの実装の壁」に関連した研究は順調に進展しており,2024年度以降も当初の計画どおりに研究をすすめる. 一方で,「モデル化の壁」については,当初の研究計画にあった極関数の調査を進めると同時に,その極関数を利用した新しいロバスト最適化モデルを考案する予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は計画通りの使用となったが,コロナ禍により使用されなかった昨年度以前の出張旅費が次年度使用額として残存している. 出張旅費や計算機器の高騰から本来は研究計画の縮小が必要となるところであったが,次年度使用額によって,当初の計画どおりに研究をすすめることができる.
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