2021 Fiscal Year Research-status Report
Real-world application of agent based model created from BCMP queueing networks and machine learning
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21K11774
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 信也 静岡理工科大学, 情報学部, 教授 (60714524)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 待ち行列ネットワーク / BCMP / 閉鎖型ネットワーク / 並列計算 / MPI / シミュレーション / 大規模ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては,閉鎖型BCMP待ち行列ネットワークをスケーラブルに計算できる大規模並列計算環境を構築した.BCMPは従来から存在するモデルであるが,理論研究から実モデルへの応用例は少ない.その原因の一つは,計算量が膨大になることがある.解析的な特性量を求めるとき,ノード数と利用者クラス数からなる膨大な組み合わせから実行可能解を算出しなければならない.インターネットのようなネットワークでは,ノード数,利用クラス数共に大きくなり,計算量も膨大となる.本研究では,現在の計算リソースを有効に活用したBCMPの特性量算出のための並列計算アルゴリズムを提案した. BCMPの基本的パラメタである拠点数N,クラス数C,客数Kについて変化を与えながら計算時間と計算に必要な計算リソースの増減を検証した.並列数128に対して,N,R,Kを変化させた場合の計算時間,使用メモリ,組み合わせ数を示し,今回はN=33,R=3,K=500を基準にして値を変化させた.各パラメタに対し,計算時間や使用メモリに対しての影響度が明らかになった. クラス数Cが増えていくときの利用メモリ量が膨大になることを考えて,シミュレーションでの平均系内人数の算出方法を提案した.具体的に,N=33, C=3, K=500でのシミュレーションを実施して,MVAで算出した理論値との誤差を確認した.今回は網内の総人数Kに対し,各拠点,各クラスでの誤差許容人数を定義し,シミュレーション精度の確認を行った.シミュレーションでも十分な結果を得られたことから,クラス数が大きい場合,C=4~8をシミュレーションによる代替手法で計算することで,少ない計算リソースと計算時間で結果が得られた.またシミュレーションを実施することで,理論値では得られない動的情報も得られ,モデルの分析に相乗効果があることもわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度においての当初の目的は,BCMP待ち行列ネットワークをスケーラブルに計算できる大規模並列計算環境を構築することであった.2021年度の研究では,現在の計算リソースを有効に活用した,BCMPの特性量算出のための並列計算アルゴリズムを提案することができ.同時にBCMPの安定解が得られる数値解析的な限界を示すことができた.そして実モデルとの連携を行えるように,スーパーコンピュータやクラウド環境での並列計算を行える基盤を構築することができている.また,エージェントベースドモデルを構築する準備として,UnityやAnyLogicシミュレーションソフトウェアを利用して,シミュレーション構築を行うことができている.これらを利用して2022年度にBCMPに対応した機械学習を利用したエージェントベースドモデルを作成する準備が整っているため,研究進捗は順調と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に構築した閉鎖型BCMP待ち行列ネットワークの大規模並列環境を活用して,待ち行列理論を実社会と連携できるシミュレーション環境を構築していく.シミュレーションを実施することで,待ち行列理論では得られなかった動的な情報を得ることができる.例として,待ち行列理論で算出される平均系内人数は物理的な制約がない条件であり,実際は施設構造などで待ち行列が作れない場合も多い.また人の密集を防ぐために最大収容人数の検討には平均だけでなく,高次のモーメントも必要となる.このように,実社会モデルに対応した待ち行列ネットワークのシミュレーション環境を構築していく.この環境を実現するには,UnityやAnylogic等の物理空間を表現できるソフトウェアの活用が効果的である.また密集を防ぐために人の流れを最適化することも必要である.推移確率行列を用いて同値類からネットワークを同定して定常分布を検証するのも一つの方法であるが,人の流れを最適化することは難しい.そこで,MCMCや強化学習手法を用いたシミュレートをすることで,人の流れを表現し,推移確率を再計算することで最適化を目指していく.2022年度はこのように,実社会モデルに活用できる待ち行列ネットワークと連携したシミュレーション環境を構築していく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延の影響があり、学会参加、特に国際会議への参加が制限され、対面での効果的なインタビューや打ち合わせができない状況であった。一方、初年度の研究の進捗が順調だったため、次年度に積極的に国際会議への参加や外部発表を行い、論文投稿数を増やして実績を残すように予算を活用していく予定である。
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Research Products
(4 results)