2021 Fiscal Year Research-status Report
外部情報を活用して分析感度を評価する新たな臨床試験デザインと統計手法の開発
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21K11784
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飛田 英祐 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (30469952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 浩之 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10604671)
佐藤 倫治 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (80865220)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 臨床試験デザイン / 非劣性試験 / 分析感度 / リアルワールドデータ / 間接比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,臨床試験において治療効果が真に有効であるのか無効なのかを判別する能力である分析感度(assay sensitivity)が問題となる非劣性試験や単群試験などの試験デザインに対し,臨床試験データとは質が異なるリアルワールドデータ(real world data)との統合可能性の評価を行い,試験治療で観測される許容最小有効量を指標とすることで,分析感度を定量的に評価し治療効果を科学的に証明する革新的な試験デザインの検討およびそのデザインにおける解析方法,サンプルサイズ設定および評価方法とその妥当性についての開発・提案を行う目的である. そのため,(1)既存情報の調査・把握,(2)試験デザイン・評価手法の構築,(3)提案法の性能評価,(4)現実への適応可能性の4つのステップで遂行する計画としている. R3年度は,当初の計画どおり,データベースの品質及び分析感度の評価に関する公表文献に基づき,既承認医薬品での試験デザインの実態調査を行い,delayed start design を改良した単群試験デザインの枠組みの構築とともに,2群非劣性試験デザインについては研究協力者である丹後俊郎先生と複数回の議論を行い,間接比較による分析感度の評価方法を構築し,2021年5月及び7月に開催された日本計量生物学会及びInternational Society for Clinical Biostatisticsで発表を行い,検討方法の適切性や改善点の検討を行った. 一方,病院カルテデータの品質は臨床試験データの品質に比べ低いことが知られているため,現在実施中の医療データベースの特徴を可視化する臨床研究の結果に基づき,臨床試験データと特徴や質の異同,統合するための必要となる条件や許容可能な相違点に関する検討を行い,2022年2月に開催された日本臨床試験学会での発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り,R3年度は4つのステップのうち,(1)データベース品質/ 分析感度の評価に関する既存文献の調査・把握(R3~R5年度)及び(2)外部情報の品質の評価方法と分析感度の定量評価法の開発(R3~R4年度)を行うために,各種文献,書籍の入手,関係する学会等への参加,研究協力者との打合せを行った. (2)の1つである臨床試験データと統合させるために必要となる外部情報の品質の評価方法の開発では,現在実施中の医療データベースの特徴を可視化する臨床研究の結果から,施設の規模やデータ入力ルールの相違によるデータのバラツキの問題,臨床試験データとの統合可能性を検討し,2022年2月の臨床試験学会での報告とともに論文作成に至っている. 外部データを利用した2群非劣性試験の分析感度を定量的に評価する解析手順の開発では,間接比較による分析感度を臨床試験で測定される試験治療に許容される最小有効量を用いて評価する方法に加えて,単群試験における分析感度をdelayed start designを改良することで,より推定精度の高い評価ができる可能性を,それぞれ2021年7月に開催された国際学会及び5月に開催された日本計量生物学会で発表を行い,様々な意見と議論を行うことができたことから,今後はさらなる性能評価及び(4)適応可能性に関して検討を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について,当初は(1)データベース品質/ 分析感度の評価に関する既存文献の調査・把握(R3~R5年度)及び(2)外部情報の品質の評価方法と分析感度の定量評価法の開発(R3~R4年度)と計画していたが,本年度は特に(1),(2)を中心に研究協力者と定期的に議論を行い,ほぼ順調に進められている. 今後は外部データの品質に関して,より大規模なデータベースと臨床試験データの統合可能性の検討を行うために,データの可視化を含めたデータマネージメント/データ分析の作業が重要となる.また,検討中の方法論の妥当性を実際の臨床試験に即したシミュレーション スタディーにより定量的な数値評価を行い確認する計画である.そのデータマネージメントやシミュレーションにおいては,更なる実際の臨床試験に関する公表文献の整理と共にプログラム・データの整理など研究を遂行する上でより作業的な負荷が高くなることから,研究補助者に依頼しながら研究を行うことで,より効率的に検討方法の妥当性を確認することが可能になると考える. また,研究成果については,理論的な方法論に対して,シミュレーションや実データに基づいた数値的な評価を加えた実用可能性を検討して,国際学会(The International Society for Clinical Biostatistics)で発表を行う予定であり,国外の研究者等の意見やコメントを踏まえて,より現実的な方法論の開発が可能になると考える.
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Causes of Carryover |
R3年度では参加予定であった国内外の関連学会が新型コロナウイルス感染症のため、いずれもWeb開催となってしまったため、計上していた旅費の執行額が0円となり、一方で、web参加に伴う備品が必要となった。 次年度には、複雑なシミュレーションやデータマネージメントを行う研究計画になっていることから、研究補助者の参画予定時期を早め、人件費・謝金を補填することとし、効率的に研究を遂行する計画である。
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Research Products
(4 results)